電力に国境はなし~直流XLPEケーブルで、世界の人の未来をつなぐ~
住友電工の直流XLPEケーブル受注・敷設実績(2022年4月時点)
①北海道本州間連系設備(北本連系線)
完工当時、直流XLPEケーブルでは世界最高電圧
受注:2009年
完工:2012年
最高電圧:±250kV
②新北海道本州間連系設備(新北本連系線(北斗今別直流幹線))
海峡トンネル内への超高圧ケーブル 敷設工事としては世界最長
受注:2015年
完工:2019年
最高電圧:±250kV
③イギリス-ベルギー国際連系線(NEMOプロジェクト)
商用運転中の直流 XLPEケーブルでは世界最高電圧
受注:2015年
完工:2019年
最高電圧:±400kV
④ インド超高圧直流送電ケーブルシステム(PK2000)
インド初の超高圧直流送電ケーブル
受注:2017年
完工:2021年
最高電圧:±320kV
⑤ドイツ国内 超高圧直流送電ケーブルシステム(Corridor A-Nordプロジェクト)
建設中の直流 XLPEケーブルでは世界最高電圧
受注:2020年
完工予定:2028年
最高電圧:±525kV
⑥ドイツ-デンマーク国際連系線(KONTEK)
他励式(LCC)変換器と400kVクラスの直流XLPEケーブルの組み合わせで採用されたのは世界初
受注:2021年
完工予定:2023年
最高電圧:±400kV
⑦イギリス-アイルランド国際連系線(Greenlinkプロジェクト)
再生可能エネルギーの国家間融通による負荷平準化
受注:2021年
完工予定:2024年
最高電圧:±320kV
⑧UAE国内 超高圧直流送電設備(Lightningプロジェクト)
中東地域初の超高圧直流XLPEケーブル
受注:2022年
完工予定:2025年
最高電圧:±400kV
脱炭素の両翼「再生可能エネルギー」と「直流送電ケーブル」
「同時同量」といって、電気は「つくる量=使う量」を常に維持しながら供給されている。需要より少なくてもいけない、つくり過ぎてもいけない。必要十分な量が発電されて安定供給が維持される。そういう特徴を持つエネルギーだ。
発電量が気象条件に左右される再生可能エネルギーの難しさがここにある。地域で発電して地域でその電気を消費するとなると電力供給がどうしても不安定になるのだ。だが広域で連系する送電網でたくさんの発電設備をつなぎ、まとまった供給量が得られれば、余っている消費地の電気を不足している消費地に送り届けることができる。さらに、再生可能エネルギーの発電所は、洋上風力をはじめ、遠隔地にある。これらの理由から脱炭素社会の実現のために絶対に必要になるのが、大容量長距離送電に堪える高電圧直流(HVDC)ケーブルだ。
欧州では今、北海やバルト海の沖合に「エナジーアイランド」と呼ばれる洋上風力の発電拠点を建設し、周辺国で電力をシェアする計画が進んでいる。当然、「直流」の連系線を増強し、国際送電網をさらに拡充していくことになる。
「再生可能エネルギー」と「直流送電ケーブル」は、ふたつでひとつ。世界をカーボンニュートラルに導く両翼といえるだろう。
「直流送電ケーブル」のスペシャリストとしての使命
欧州だけではない。先のCOP26では、これまで踏み込んだ数値目標に言及することのなかったインドが「再生可能エネルギーの比率を2030年までに50%にする」と表明した。同国では2021年に、住友電工で高電圧直流(HVDC)ケーブルを製造・敷設した連系線が運用を開始している。± 320kVの「直流XLPEケーブル」だ。こうした連系線の新設・拡充は世界各地で現在進行形で進んでおり、住友電工への引き合いも年々高まっている。まさに世界が連系線で結ばれるカーボンニュートラルの時代も現実味を帯びてきた。
国内外で数々の連系線プロジェクトを見届けてきた常務執行役員で社会システム営業本部長の柴田泰行は、拡大する脱炭素社会の市場環境に対して、メーカーとしての矜持を語る。
「脱炭素社会の実現は、待ったなしの状況です。その中で具体的に技術や製品で課題解決できるのが私たちメーカーです。特に再生可能エネルギー普及のためには、直流送電ケーブルが不可欠です。私たちが開発した『直流XLPEケーブル』は、約30年にわたって粘り強く研究を続け、材料技術から自社開発したまさに私たちのアイデンティティを体現した世界に類を見ない製品です。この技術を糧に、社会を支えられることを何よりの誇りに感じています」(柴田)
さらに、カーボンニュートラルにコミットしていく決意を熱く続ける。
「私たちがカーボンニュートラルを実現する、それぐらいの信念を持って取り組んでいきます。今後も製品の品質をさらに向上させ、生産拠点も拡充していきます。持てる専門性を活かして、脱炭素社会のど真ん中でしっかり貢献することで、世界に『SUMITOMOELECTRIC』の名を刻んでいきたい」(柴田)
グローバルな舞台の主役として、ひとつでも多くの「直流XLPEケーブル」を送り出し、世界中を持続可能な未来へとつなげていく。住友電工の挑戦はすでに始まっている。