住友電工グループは、基本精神である「住友事業精神」と「経営理念」に基づく高い企業倫理の下、公正な事業活動を行うことを不変の基本方針としています。

住友事業精神

住友事業精神は、住友家初代・住友政友(1585~1652年)が晩年にしたためた商いの心得である「文殊院旨意書」を源流とし、住友の銅事業を中心とする歴史の中で深化を遂げてきました。その核心部分が明治時代に成文化された『営業の要旨』です(1891年)。それに加えて、住友歴代の経営者が残した言葉や経営上の決断という形で伝えられてきた理念や信条が一体となったものが住友事業精神として脈々と受け継がれています。

文殊院旨意書

住友事業精神の源流

「文殊院旨意書」は五か条からなり、商人の心得をわかりやすく教え諭しています。
盗品の売買、見知らぬ者への宿貸し、他人の仲介、保証、掛け売り・掛け買いの禁止、短気を起こし声高に争うなどせず、繰り返し丁寧に説明するようにと対人応援のあり方を記しており、現在の住友事業精神の原点となっています。

 

文殊院旨意書

(住友史料館所蔵)

萬事入精
(ばんじにっせい)

「文殊院旨意書」の前文、「商事は不及言候へ共、万事情(精)に可被入候」に由来する言葉で、まず一人の人間として、何事に対しても誠心誠意を尽くす人であれと諭しています。
この教えは「住友事業精神」の基本となり、住友では一人ひとりが単なる金儲けに走ることなく、人間を磨き、人格豊かに成熟することが求められました。

営業の要旨 

第一条

我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし

第二条

我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、苟も浮利に趨り、軽進すべからず

 

※住友合資会社社則(昭和3年制定)

信用確実
(しんようかくじつ)

第一条は、住友の事業発展の基盤が「信用と確実」にあること、すなわち「常にお客さまやお取引先、更に広く社会からの信頼に応える」ことが最も大切であることを謳っています。

不趨浮利
(ふすうふり)

第二条は、社会の変化に迅速・的確に対応して適正利潤を追求するために常に事業の興廃を図る積極進取の姿勢が重要であることを謳った上で、「浮利を追って軽率、粗略に行動する」ことを強く戒めています。『浮利』とは、「目先の利益や安易な利益追求」のことで、「道義にもとる不当な利益」の意味も込められています。

この他にも、住友には下に示すような脈々と受け継がれている考え方があります。

技術の重視

住友の銅事業の源流が「南蛮吹き」という当時最先端の精錬技術にあったように、技術を重んじ、新技術の開発にも果敢に取り組む経営姿勢が住友の事業発展の原動力といえます。

人材の尊重

住友の歴史をみても現場の意見を重んじる思想があり、自由闊達な議論と人材重視の社風を培ってきました。事業は人材が育て上げるとして、人を大切にしてきた住友。その背景には常に「人格を磨く」という考え方があります。

企画の遠大性

住友の事業が長期的・継続的な視点を要する銅山経営を根幹にしていたことに由来する経営姿勢です。将来を見据えた長期的な視点、国家・社会全体の利益という大所高所の視点からの事業展開が住友の特質の一つです。

自利利他、公私一如

「住友の事業は住友自身を利するとともに国家を利しかつ社会を利する事業でなければならない。営利のみに走ることなく、絶えず公益との調和を図る」という理念を示す言葉です。100年以上も前から別子銅山の環境問題に取り組んだように、古くから変わることなく受け継がれている精神です。

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「住友の歴史と事業精神」について詳しく紹介されています。