22 September 2021
イギリスーアイルランド間 国際連系送電システム建設プロジェクト向けに高圧直流送電システムを受注
住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下 当社)とドイツのシーメンスエナジー社(Siemens Energy)によるコンソーシアムは、グリーンリンク社(Greenlink Interconnector Limited)より、イギリスとアイルランドを結ぶ国際連系送電システムの建設プロジェクト向けの±320kV直流送電(HVDC)システムを、設計、調達、建設を含むEPC契約*¹にて受注しました。本プロジェクトの最終投資決定の後、2022年に着工し、2024年にシステム引き渡しをする予定です。
本件は、イギリス・ウェールズ南西部ペンブルックシャーとアイルランド南東部のウェスクフォード間を結ぶ国際連系送電システムの建設プロジェクトで、ルート全長は約190km(海底区間160km、陸上区間30km)です。
当社は、±320kV直流XLPE(架橋ポリエチレン)絶縁ケーブルを含むケーブルシステムの設計、製造、建設、保守メンテナンスを、シーメンスエナジー社は、交直変換所の設計、製造、建設、保守メンテナンスを担当し、試運転を経て2024年に引き渡す予定です。
送電を高電圧の「直流」で行う高圧直流送電(HVDC)は、送電ロスが少なく、長距離・大容量送電に適しており、国家・地域間連系線や洋上風力発電所の建設が活発化している欧州を中心に需要が増加しています。高圧直流ケーブルは、油浸紙絶縁ケーブルが主流でしたが、近年では許容運転温度が高く、環境保全性に優れているXLPE(架橋ポリエチレン)絶縁ケーブルの採用が加速しています。
その中で、当社グループは、独自開発した直流XLPE絶縁ケーブルの技術的優位性(常時導体許容温度が90℃であること、極性反転*²が可能であること)などを活かし、2019年にイギリス・ベルギー間において、直流XLPE絶縁ケーブルでは世界最高電圧となる±400kV直流ケーブルシステムを完工しました。2020年には、ドイツ国内における±525kV高圧直流ケーブルシステムを受注しています。
また、2017年より、直流コンバーターの最先端技術を有するシーメンスエナジー社と連携して高圧直流送電システムのソリューション提供に取り込んでおり、2021年には、インド初の高圧直流XLPEケーブルシステムを共同で完工しています。
こうした、当社製品の技術的優位性やプロジェクト実績、シーメンスエナジー社と連携した総合ソリューションが高く評価され、今回の共同受注に至りました。
本プロジェクトは、イギリスとアイルランドの両国で急速に増加している再生可能エネルギーの効率的利用の促進と両国間の電力供給系統の安定化への寄与が期待されています。当社グループは、本プロジェクトの完遂に向けて、一丸となって取り組んで参ります。
今後、日本も含めた世界的な再生可能エネルギーの普及加速や国家・地域間連携線建設の活発化を受け、高圧直流ケーブルの需要拡大が見込まれます。当社グループは、最先端の高圧ケーブル技術や高品質なソリューションの提供により、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
*1 EPC契約:
設計(engineering)、調達(procurement)、建設(construction)を含む、建設プロジェクトの建設工事請負契約。
*2 極性反転:
直流連系線の運用状況において、ケーブルに印加される電圧のプラスとマイナスの極性を入れ替える操作。一般的に、極性反転を行う際には、絶縁性能が低下する課題がありますが、当社が開発したXLPEケーブルは、絶縁性能を維持したまま極性反転が可能です。
ご参考
・2021年3月16日
インド初の直流XLPEケーブルによる超高圧直流送電システムの商用運転開始
~住友電工、Siemens Energy社の共同受注プロジェクト~
・2017年3月27日
Siemens AGとの連携協力に関する合意書締結およびインドでの高電圧直流送電システムの共同受注について
・住友電工未来構築マガジン(2017年7月発行)
地域間の電力の安定供給に貢献