気候変動への適応と緩和
基本的な考え方・体制・目標は環境マネジメントをご参照ください。
環境指標の実績はCSRブック(ESGデータ)をご参照ください。
TCFD/TNFDに基づく情報開示
* TCFD:G20(金融・世界経済に関する首脳会合)の要請を受けた金融安定理事会(FSB)により設立されたタスクフォース(Task Forceon Climate-related Financial Disclosures)。気候変動を「リスク」と「機会」として捉え、温室効果ガスによる気温上昇が企業財務に与える影響を開示することを提言
* TNFD:自然資本および生物多様性に関するリスクや機会を評価し、開示するための枠組みを構築する国際的な組織である自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の略。
脱炭素(温室効果ガス排出量削減)
住友電工グループは、2050年までに自社製造における温室効果ガス排出(スコープ1+2)において、カーボンニュートラルを掲げています。そのマイルストーンとして、2030年までに2018年度比で30%の削減を目指し、年率2.5%の削減に取り組んでいます。サプライチェーンの上流と下流における温室効果ガス排出(スコープ3)については、2030年までに2018年度比で15%削減を目指し取り組んでいます。これらの2030年目標は国際的イニシアチブ「SBTi(Science Based Targets initiative)」から認定を取得しています。
〈2050年までに全工場をネットゼロ工場へ〉
2050年カーボンニュートラルに向け、当社グループでは、 2023年に地球環境部内に「ネットゼロ工場推進グループ」を立ち上げ、ネットゼロ工場*のモデル構築及び普及促進を計画的に推進しています。生産工程における徹底した省エネ推進や、太陽光発電などの再生可能エネルギー導入拡大で、2050年までに当社グループの約270ある工場の全てをネットゼロ工場にしていく計画です。
* ネットゼロ工場:2050年カーボンニュートラルの達成に向け、年間の温室効果ガス排出量がゼロ以下かつ省エネ・創エネを規範となるレベルで進めている工場
取組み
スコープ1+2削減
徹底した省エネ推進、エネルギー生産性向上、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー導入拡大などの自助努力を推進した上で、電力会社の温室効果ガス排出係数の推移やグリーン電力*の需給バランスなど社会全体の温室効果ガス関連のトレンドを注視し、リスクを最小限に抑えつつ、温室効果ガス削減目標の達成を図ります。
* グリーン電力:太陽光や風力、水力、地熱などの温室効果ガスを出さないエネルギーで発電されたもの
省エネやエネルギー生産性向上は、地球温暖化防止に加え、コスト競争力向上の観点からも企業にとって非常に重要なテーマです。そのため、当社グループでは温室効果ガス削減の絶対量だけではなくエネルギー原単位低減の目標も掲げており、省エネ活動を温室効果ガス削減活動のみならず生産活動の基礎として推進しています。特に生産量の連動しない固定エネルギーの削減や、省エネに関する新技術の積極的な検討・導入に重点的に取り組んでいます。
具体的には、地球環境部と事業部門がエネルギー生産性向上に関する対話を四半期ごとに実施し、エネルギー原単位低減の進捗確認に加えて、課題をヒアリングし、新しい省エネ技術の導入例など、有益な情報を共有して解決を促進しています。さらに、共有した情報は「地球環境推進責任者会議」や「脱炭素ポータルサイト」などで発信して横展開を図っています。また、生産性向上の取組みを推進するため、CO2削減設備や新技術の投資予算枠を設けるなど温室効果ガス削減投資を推進するとともに、運用面での改善を図る「省エネ200カイゼン」活動も実施していることなどがあげられます。
「省エネ200カイゼン活動」の具体例としては、IoT機器を活用した設備単位の使用エネルギーの見える化により、待機電力の削減を進めています。
また、地球環境部ではエネルギー削減につながる新技術の情報収集と評価を進めており、事業部門のニーズに合わせて新技術の導入を支援することで、エネルギーの大幅削減を図っています。
再生可能エネルギー導入については、2023年度に地球環境部と資材部で策定した「中長期再エネ調達ガイドライン」に基づき、オンサイト(敷地内)に加えオフサイト(敷地外)PPA*なども含め様々な手段による創エネを計画的に導入しています。
* PPA:Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略。発電設備をPPA事業者の費用で設置し、維持管理をした上で発電設備で発電された電力を使用者に有償で提供する仕組み。オンサイトは敷地内の発電設備から、オフサイトは敷地外の発電設備から電力を供給する
2025年2月には当社として初のオフサイト(敷地外)PPAの契約を締結しました。2025年5月以降、当社の大阪製作所では関西電力㈱によって新設された太陽光発電所から年間電力使用量の約13%に相当する再生可能エネルギーが供給されています。
オフィス部門
オフィス部門でも本社・支社・支店を対象に、職場(部またはグループ単位)ごとに「職場ECO活動推進委員」を任命してきめ細かい省エネ活動を推進しています。
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「クールビズ(5~10月)」「ウォームビズ(11~3月)」を全社的に実施、空調に要するエネルギー使用量の削減を図っています。
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1年を通じて昼休憩時のオフィス内の一斉消灯を徹底。昼休憩時の受付コーナーの消灯やエレベーターホールの減灯も実施しています。
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会議終了後の照明や空調の電源オフ、トイレの利用時以外の消灯を徹底するとともに、廊下やトイレへの人感センサースイッチ導入による省エネを促進しています。
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パソコンのECOモード設定(離席時など一定時間パソコンを操作しない場合に「モニタの電源オフ」「システムスタンバイ」になる設定)や、帰宅時のパソコン・モニタの電源オフを徹底しています。
スコープ3削減
当社グループでは原料・部品を購入するお取引先が1万社を超えていることから、スコープ3CO2排出量の約半分を占めるカテゴリー1の削減を進めるにあたり、特に排出量の多くを占める銅、鉄鋼、アルミ、合成樹脂といった素材メーカーを中心に、排出量上位100社を選定し、優先的にサプライヤーエンゲージメントを進める対象としました。これら上位のお取引先に当社方針を説明し、排出量の報告と削減への協力をお願いしています。
カテゴリー4の輸送におけるCO2排出量は顧客の需要変動に柔軟に対応しながら、鉄道コンテナや内航船舶利用の拡充、トラック積載率向上・便数削減などへの地道な取組みを継続し、温室効果ガス削減目標の着実な達成を図ります。また、年に2回開催する「グリーン物流分科会」を通じ、輸送におけるCO2削減実績の情報展開・全社的取組みを推進するための教育をグループ関係各社に対して実施しています。
LCA(ライフサイクルアセスメント)
製品の環境負荷低減による競争力向上や顧客からの製品CFP(カーボンフットプリント)開示要請の増加など、製品LCAの重要度が高まる中、当社では2023年度から地球環境推進責任者会議の直下に「LCA分科会」を設置して、各事業部門、部署に約60名の委員を配置し、活動を続けてきました。2024年度も4回の分科会を開催して各業界の標準化を含むLCA関連の最新情報やサプライチェーン上下流の動向、社内LCA算定事例の共有などを通じ、LCAの普及促進、算定の効率化などグループ全体のレベルアップに寄与しています。
2024年度からは、銅を使った製品へのリサイクル銅適用による製品CFP低減効果の確認にLCAの手法を活用するなど、環境負荷低減と省資源を両立した製品開発へのLCAの応用にも取り組んでいます。
実績
スコープ1+2削減
2018年度比での2024年度削減目標15%に対して、18.1%削減(上場子会社を含むと20.4%削減)と目標を達成しました。これは、電力会社の温室効果ガス排出係数が低下したことに加え、設備の高効率化や運用面での改善を図る「省エネ200カイゼン」活動の推進、太陽光発電設備の導入、SF6(六フッ化硫黄)など非エネルギー起源の温室効果ガス削減といった自助努力の成果によるものです。
エネルギー生産性向上
2024年度エネルギー使用量は、各部門での省エネ活動の推進により前年度とほぼ同等であったものの、売上高が大きく増加した影響により売上高原単位低減率は2021~2022年度平均比で21.6%※と、目標の6.6%を超過達成しました。事業部門別では自動車部門が大きく貢献しました。
再生可能エネルギーの導入
2024年度は、国内2拠点とアジア、欧州等の海外14拠点で太陽光発電設備を14.7MW分導入し、導入量の合計は目標30MWに対して50.6MWと目標を達成しました。
スコープ3削減
2018年度比での2024年度削減目標7.5%に対して、15.7%増加(上場子会社を含むと1.1%増加)と目標を達成できませんでした。これは当社製品の生産量増加によるものです。
〈サプライヤーエンゲージメントの強化〉
排出量上位100社のうち76社のお取引先から当社向け納入品の排出量の年次報告をいただきました。また昨年度の排出量が多い最上位10社に加え、2024年度からは11~20位のお取引先にも削減計画の立案と遂行にご同意いただきました。サプライチェーン全体での排出量削減にはお取引先のエンゲージメントが必須と考え、今後も最優先で取り組んでいきます。
〈輸送におけるCO₂排出量の推移〉
2024年度の国内輸送と輸出の合計CO2排出量は前年度比で4%減少しています。国内輸送(トラック等、鉄道、内航船舶)の CO2排出量は1%増加、輸出(外航船舶、国際航空)のCO2排出量は7.4%減となりました。後者は運河通行制限など外航船舶の混乱が収束したことや、国際航空利用の減少に注力したことが寄与しました。
〈国内輸送におけるCO₂排出量原単位低減〉
2024年度の国内輸送におけるCO2排出量原単位は、基準となる2018年度に比べて、住友電工グループ(右記グラフ(注1)参照)が3.3%減少、住友電装㈱グループが22.5%減少しました。また、これらを合算した物流CO2原単位低減(国内)について、低減率は12.7%低減となり、目標とする6%低減を大幅超過達成しました。
前年度との比較では、住友電工グループ(右記グラフ(注1)参照)において、横ばいとなっていますが、これは主に当社の電力・導電製品事業でない船舶利用比率が増えた一方、需要変動により同利用が大きく減少した事業があったからです。
今後も中長期を見据えた地道な取組みを継続し、住友電工グループ及び住友電装㈱グループを挙げて輸送におけるCO2排出量削減を進めていきます。