人材育成
基本的な考え方
人材育成方針
住友電工グループは、住友事業精神に則り、人材の尊重を重視した経営を行っており、2011年9月に「Sumitomo Electric Group Global Human Resource Management Policy(グローバルHRMポリシー)」を制定しました。このポリシーにおいて、グローバルな人材確保や登用を加速していくため、仕事を通じて成長を実感し自己実現できるような環境づくり、人種・民族・国籍・宗教・年齢・性別・性自認・性的指向・障がいの有無などに関わらないキャリア機会の提供、ダイバーシティ・インクルージョンの推進、グローバルリーダーの育成等に取り組んでいくことを明文化し、社内外に広く宣言しており、人材育成における当社の基本方針となっています。
人材育成の体制・制度
SEIユニバーシティ
当社グループでは、求める人材像を「住友事業精神を堅持し、会社の経営方針を理解し、基本に忠実で高度な技術・知識を有し、グローバルに通用する人材」として定義しています。人材育成の取り組みとして、当社グループの事業戦略を遂行するための能力・技術・技能・知識向上を目的とした研修や、社員が一体感を持って経営ビジョンに向かって邁進し、理念・価値観・文化を共有するための研修等を実施しており、これらを構成する人材育成体系を、SEI ユニバーシティと総称しています。
人材育成の基本である「一人ひとりの自己啓発への強い意欲」と「上司の指導と対話による職場でのOJT」をSEIユニバーシティが強力に支援することで、社員個々人の成長と会社目標の達成を共に実現していくことが、当社グループで大切にしている人材育成の考え方です。
それまでの教育・研修体系をさらに発展させ、2005年に発足したSEIユニバーシティは、各事業部門が事業に即したプログラムを個別に企画・実施する「部門内研修」とコーポレートスタッフ部門が全部門を対象に企画・実施する「全社研修」を両輪としており、住友電工および、国内外のグループ会社の社員にも段階的に対象を拡大しています。2007年には、製造業である当社グループの競争力の源泉であるモノづくり人材の育成に特化した「テクニカルトレーニングセンター」をSEIユニバーシティ内に創設し、モノづくりの基礎から専門教育にいたるまで、さまざまな研修を企画・実施しています。
主な研修制度
SEIユニバーシティでは、「ヒューマンスキル」「課題解決力」「テクニカルスキル」の3つの分野で、経営幹部から新入社員までの全グループ社員に対して階層別に受講を必修とするものを含めて300を超える研修プログラム(共通研修)を提供しています。また、各社・各部門では、テクニカルスキルのうち自社・自部門で特に必要とされる固有の知識・スキルの習得のために「各社固有研修(専門知識)」を実施しています。
また、全社員必須の教育として、次の項目を基礎5科目とし、各研修に織り込んで実施しています。
(1)事業精神・経営理念・CSR
(2)経営方針・ビジョン
(3)コンプライアンス
(4)SEQCDD*
(5)ダイバーシティ
なかでも住友事業精神については社員が業務を遂行するにあたっての根幹を成すものと位置づけています。当社では新入社員研修や各種階層別研修において学ぶ機会を設けているほか、コンプライアンスや人権に関する研修においても常に事業精神との関係を伝えています。
また、社長自ら、半期に一度、メッセージ動画を通じて、住友事業精神に則って職務を遂行するよう全ての社員に要望していますが、その動画を多言語に翻訳し国内外グループ会社にも配信しています。
さらに、海外赴任前には、現地において自分の言葉で事業精神を伝えることができるよう研修を実施すると同時に、国内外グループ会社においても、定期的に事業精神を学ぶことができるよう社内講師の育成などを進めています。
*SEQCDD:住友電工グループ事業活動の基本要素で、S:安全、E:環境、Q:品質、C:コスト、D:物流、納期、D:研究開発を意味する。
グローバル共通ナレッジ&スキル(GCK)プロジェクト
変化の激しい経営環境において社員の能力開発の重要性が 一層高まっていると同時に、企業のガバナンス強化のため社員に徹底すべき事項も多岐にわたっています。その状況を踏まえ、グローバルに徹底すべき内容を明確化するとともに、国内外グループ会社が、それぞれの課題に対応して、導入すべき研修を従来以上に理解し、優先順位づけするための指標として、SEIユニバーシティ設立当初から培ってきた 研修コンテンツやノウハウを整理・統合し、「グローバル共通ナレッジ&スキル(Global Common Knowledge and skills: GCK)」として体系的に示しています。新型コロナウイルス感染症の拡大により、集合研修の開催が困難な時期もありましたが、GCKの取り組みを通じe-ラーニングコンテンツの充実やリモート形式による研修開催を急速に推進・ 展開し、当社グループ会社における教育時間は、コロナ禍以前と比較して増加傾向にあります。今後も、ダイレクトなコミュニケーションが可能な集合研修の開催、場所を選ばず学習可能なオンライン教材のグローバル共通コンテンツの開発・提供とともに、外部の優良教材も活用しながら人材育成に取り組んでいきます。
キャリア対話の推進
社員一人ひとりの成長のためには、自身の価値観・やり甲斐といった内的キャリアをベースに社員それぞれがキャリアビジョンを描き、その実現に取り組むことが必要です。自己啓発に積極的に取り組むとともに、OJTで培った能力を活かして、より困難な仕事にチャレンジすることで、能力向上につなげることができます。住友電工では、一人ひとりが仕事を通じて必要な能力を高めることが、当社の成長・発展にもつながる、Win-Winの関係になることを目指しており、そのための支援を行っています。以前から年間の業務目標立案時に、上長と部下との間でキャリア対話を行う制度を運用していますが、対話の大切さと具体的な対話の進め方を理解するために、上長向けに「キャリア対話の進め方研修」を実施しています。
また、マネジャー層への昇進者、45歳、55歳など節目を迎えた社員に対して、それぞれの立場・年齢に応じたキャリア研修も実施しており、希望者には研修後に社内キャリアコンサルタントによるキャリア相談の場も提供しています。
グローバル展開
当社グループ全体の人材育成を推進するため、国内グループ会社社員の住友電工主催研修への参加機会を設けています。新入社員研修、昇進者向け研修、階層別研修、キャリア入社者研修などへの国内グループ会社社員の参加者は年々増加しています。
また、各グループ会社における研修運営が難しいケースなどは、住友電工本体から社内講師を派遣して、必要な研修を各社で実施しています。
一方、海外グループ会社に対しては、現地ニーズに応じた人材育成推進のため、国ごとの人事マネジャー会議にて、定期的に各種研修(一般層向け中心)の企画・運営を議論しているほか、国内外の人事・人材開発に関わるメンバーと当社グループにおける人材育成の課題やグローバル共通研修について議論しています。また国内外共通で各マネジャー層を対象に次のような研修プログラムを運営しています。
世界共通研修プログラム概要
経営幹部研修
対象:Executive
実際の経営課題にチームで取り組む実践型のプログラム
アクションラーニングに加え、住友事業精神の深い理解、経営的知識の習得などを通じて、経営幹部を育成します。2010年度からは、Global Leadership Development Program(GLP)の卒業生を中心に海外からも参加しています。アクションラーニングで出された有益な提案は、実際の経営に活かされ、実現されていきます。
Global Leadership Development Program (GLP)
対象:General Manager
グローバル・リーダーシップ開発プログラム
国内外の住友電工グループ各社の幹部社員を日本に招聘し、経営幹部講話や、リーダーシップ・ワークショップ、住友事業精神の理解などを踏まえ、グローバルなリーダーシップを発揮できる人材を育てています。
SEG Management Program based on the Sumitomo Spirit (MPSS)
対象:マネジャー
住友事業精神に基づくマネジメントプログラム
海外関係会社各社の中核となるマネジャー層に対し、住友事業精神の共有・浸透と、部下に対するマネジメントスキルの向上を目的とした研修です。毎年、欧州、北米、中国(華東地区、華南地区)、東南アジア、メキシコの6地域で開催しています。
研修実績につきましては、「CSRブック」内でご紹介しておりますので、ご参照ください。
モノづくり人材育成
モノづくり人材育成の基本的な考え方
住友電工グループの「モノづくり」人材育成をめざした研修は、テクニカルトレーニングセンター(2008年10月、伊丹製作所内に設立)を核として行っています。
「モノづくりは人づくり」との基本的な考え方に立脚し、当社グループが培ってきた「良き技術と技能」を伝承し、モノづくり力を強化することを目指して、①キーパーソン研修、②技術・技能研修、③モノづくり基礎教育の3本柱で推進しています。