革新的なシステム技術で自動車業界と電力業界をつなぎ、地球規模の課題解決を目指す

平田 仁士

モビリティとエネルギーをつなぐ EMS 事業の展開
システム事業部
部長 平田 仁士

近年、地球温暖化の影響と思われる現象が世界各地で多発しています。生活に支障をきたすだけではなく、深刻な被害が発生している地域もあり、その影響は今後ますます増えるのではないかと懸念します。自分の子どもたちやその次の世代のことを考えると、こうした課題を決して先送りしてはいけないと強く感じます。
私たちは、「住友電工グループ2030ビジョン」においてグリーンな社会の実現を大きな経営目標としています。この目標達成の鍵となるのが、CO2排出の約20%を占める車両の電動化と太陽光などの再生可能エネルギーの有効活用です。当社グループは、自動車業界(モビリティ)と電力業界(エネルギー)の両方にさまざまな製品やサービスをご提供しています。当社グループならではの優れた総合力を活かし、革新的な技術を融合させることによって、これら二つの業界をつなぎ、新たな価値を生み出して、地球規模の課題の解決に貢献したいと考えています。

時代が求める住友電工グループのEMS事業とその使命

当社グループは、独自のエネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用し、モビリティとエネルギーの橋渡しをしたいと考えています。モビリティ業界では、環境負荷を低減するためにCO2を排出しない電気自動車(EV)の導入が進んでおり、当社グループはテレマティクス技術や製品を通じてEVの安心で快適な利用を支援しています。一方、エネルギー業界では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入が推進されるも、天候による発電量の変動を効果的に管理し、安定したエネルギー供給を可能にする技術が求められています。

EMS事業では、当社グループのEV技術とエネルギーマネージメント技術を活用し、EVの車載電池を集約して電力ネットワークの調整力として機能させる新しいビジネスモデルを検討しています。また家庭でも、新開発のV2H(vehicle to home)充放電器を使用すれば、例えば再生可能エネルギーのピーク時にEVを充電することで電力の需給バランスを保ち、エネルギーを効率的に活用することができるようになります。住友電工グループは、技術革新を通じてモビリティとエネルギーとをつなぎ、自動車の役割とエネルギー供給の未来を再定義して、緑豊かで持続可能な社会の実現を加速させていきます。
 

住友電工グループのEMS事業の全体像

お客様と志を一つに

当社グループのEMS事業は、実証試験段階から実用サービスに移行したばかりで、今後の発展について現在戦略を立てているところですが、これがカーボンニュートラルの実現やエネルギー効率の最大化といった社会の目標達成にとって不可欠な仕組みであることに違いありません。社会の根幹を支える当社グループにとっては、国や自治体、電力会社、自動車メーカーなどのお客様と連携し、先進的なシステムを構築することが非常に重要だと考えています。

時には私が最前線に立って、直接お客様と議論を交わす機会もありますが、その中で、お客様も私たちと同じ使命感を持ってEMS開発に取り組まれていると強く感じます。お客様と共有するこの強い志があるからこそ、私たちは直面する困難な課題に対しても互いに知恵を出し合い、徹底的に議論を重ねることで、最適な解決策を見つけていくことができます。このプロセスは時に妥協を許さない真剣勝負となることがありますが、その覚悟があるからこそ、真に価値ある製品やサービスを提供できるのです。


新開発の家庭用V2H充放電器
新開発の家庭用V2H充放電器

地球規模の課題解決も、まずは一歩を踏み出すことから

私は無線通信の技術者として、長く情報通信分野で新技術と製品の開発に携わってきました。2022年からEMS事業を担当するにあたり、多くの優秀な技術者たちからその技術や構想の奥深さを学ばせてもらいました。元来、新しいことへの挑戦と社会への貢献に生き甲斐を感じていましたので、また情熱をささげる絶好の機会をいただけたとワクワクしています。

私の主な役割は、多彩な能力を持つチームメンバーを一つにまとめ、チームのポテンシャルを最大限に引き出すことです。そのために、最適なリーダーを選出し、プロジェクトの重要性をしっかりと伝えて、活気に満ちた働きやすい環境づくりを心がけています。常に期待どおりの成果が得られるとは限りませんが、一歩を踏み出すことが重要であり、それが成長と成果につながると確信しています。自分たちが開発し、世に送り出した製品やサービスが実際に利用され、多くの方々のお役に立っている様子を目の当たりにすると、すべての努力が報われます。若い技術者たちにも、そんな経験を味わってほしいですね。

新規事業では予想外の課題に直面することもありますが、チームが一丸となり、お客様と志を一つにして課題に取り組むことで、お客様にも社会にも価値のある貢献を続けていくことができると信じています。今後も「五方よし」の精神を胸に刻み、EMS事業の発展を通して、社会課題の解決に向け邁進してまいります。

​開発チームメンバーと

『住友電工テクニカル
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技術論文集『住友電工テクニカルレビュー』

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