23 December 2025

ＭＣリテールエナジー株式会社（以下、ＭＣリテールエナジー）、住友電気工業株式会社（以下、住友電工） 、本田技研工業株式会社（以下、Honda） 、ALTNAソリューションズ株式会社（以下、ALTNA）の4社は、ＭＣリテールエナジーが東京都より令和6年度採択された「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」の一環として、個人が所有する電気自動車（以下、EV）に蓄えた電気を家庭や地域の電力ネットワークに供給するVehicle to Grid（以下、V2G）の実証を12月より開始致しました。本実証では、複数のEVを用いて、実際に電力市場での取引^(※1)を行い、V2Gの実用性と事業性を検証します。

カーボンニュートラルの実現には、EVの普及とともに、再生可能エネルギーのさらなる有効活用が不可欠です。しかし、再生可能エネルギーは電力の供給時間帯と実需要にギャップがあり、この課題解決には需給バランスの安定化が求められています。

これまで、EVの電力を家庭内で活用するVehicle to Home(V2H)の普及は進んでいるものの、個人所有のEVはユーザーごとに利用時間が異なるため、電力網のインフラとして安定的に一定量の充放電が求められるV2G運用には課題がありました。

そこで4社は、利用時間が多様なEVバッテリーを複数台同時に制御することにより、多くの電気を蓄え、家庭だけでなく地域の電力ネットワークへの供給も可能にする新たな運用スキームの確立に取り組みます。

本実証では、HondaのEV充給電制御を活用し、ＭＣリテールエナジーのシステム連携を通じてV2G運用スキームを検証します。これにより、電力系統への負荷低減、需給ギャップの縮小に加え、再生可能エネルギーの活用促進への貢献を目指します。

また、4社が共同開発したシステムにより、複数台のEVを一括制御し、電力市場(需給調整市場・卸電力市場)での取引(入札)^(※1)を実施します。EVユーザーが実証アプリにEVの使用予定時間をあらかじめ入力すると、未使用時間に自動で充放電の計画が構築され、計画通り充放電できた場合には、市場からの報酬がEVユーザーに還元されます。これにより、EVの総保有コスト（TCO：Total Cost of Ownership）の低減を図り、より手頃で快適なEVライフを実現します。

さらに、本実証で得られる走行距離・利用時間帯・充放電可能電力量などのデータを分析し、EVの普及拡大後もV2Gを安定的に運用できるよう、関係者との連携を強化します。お客さまがEVをよりストレスなく利用できる環境づくりに加え、カーボンニュートラル社会の実現に資するEVユーザー向け電力プランの提供を目指してまいります。

■Vehicle to Grid（V2G）の仕組み
①EVユーザーは、EV利用時間をスマートフォンの専用アプリで登録します。
②電力系統における需給状況と電力市場価格をもとに、システムがユーザー毎の最適な充放電計画を作成します。
③充放電計画が車両に連携され、充放電指示が実施されます。
④実際の充放電状況がアプリで確認できます。
⑤複数台のEV充給電制御によって電力市場へ調整力^(※2)を提供します。
⑥実際に充放電指示に応じた場合、EVユーザーへ報酬が還元されます。

■各社の役割

ＭＣリテールエナジー	・協定金(※3)に関する業務 ・電力小売事業者として実証プランの準備、実証参加者と実証規約等の締結 ・AC(アグリゲーションコーディネーター)としての電力市場との取引(※1)
住友電工	・AC/RA(リソースアグリゲータ)システムの構築と運用サポート
Honda	・RAシステムの運用(EVの充放電制御の実施など) ・実証参加者向け専用スマホアプリの開発・提供
ALTNA	・全体事業性検証 ・RAとしての経済性検証

(※1)取引：2025年12月現在、EVを含む低圧リソースは、制度上、需給調整市場へ入札を行うことができないため、本実証では仮想的に入札し、その報酬額を算出します。なお、卸電力市場については実際に取引を行います。
(※2)調整力：電力は大量に貯められないため、発電量と消費量を常に一致させる必要があります。調整力は、このバランスを保つために発電所や蓄電池などで出力を増減させる力のこと。周波数を安定させ、停電を防ぐ重要な役割を担います。
(※3)協定金：ＭＣリテールエナジーが、東京都より令和6年度採択された「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」の一環として本事業を実施し協定金を活用いたします。