06 July 2023
ケーブルテレビ放送のオールIP化実現に向けた実証実験に成功
住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下 当社)は、ケーブルテレビ株式会社(本社:栃木県栃木市、社長:髙田 光浩氏)、日本デジタル配信株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:高秀 憲明氏、以下 JDS)、KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO:髙橋 誠氏、以下 KDDI)と共同で、昨年11月~12月にかけてケーブルテレビ放送のオールIP(インターネットプロトコル)化*1実現に向けた実証実験(以下、本実証実験)を行い、構築したIPマルチキャスト放送*2システムにおいて、JDSのACAS配信信号*3を使用することで、RF方式*4と同一の放送サービスが極めて安定的に提供できることを実証しました。
近年のケーブルテレビ業界では、放送サービスのオールIP化へ向けた動きが加速しています。現在のケーブルテレビはRF方式で放送サービスを提供していますが、4K/8K放送の増加によるRF放送の空き帯域の不足が懸念されること等から、RF方式からIPマルチキャスト放送への移行へ向けた諸基盤が急速に整備されています。
当社は長年にわたりIPマルチキャスト放送に関わる事業を展開しており、その過程で培った技術やノウハウを生かして、ケーブルテレビに好適なトータルシステム・装置の開発を推進してまいりました。
本実証実験は、ケーブルテレビ株式会社提供のFTTH(Fiber To The Home)実証環境において、当社製のIP放送ヘッドエンド装置、受信端末(IP-STB)、10G-EPONセンター装置(OLT)・端末(ONU)によるIPマルチキャスト放送システムを構築し、JDSのACAS配信信号でRF方式と同一放送サービスの利用が提供可能であることを実証したものです。結果として、極めて安定的な提供が可能となり、優先制御などの活用により通信サービスとの共存に支障が一切発生しないことも実証されました。また、ケーブルテレビ放送のオールIP化システムの機能や構築・運用に関する様々な課題への実践的な解決策も得られました。
■ 実証実験の概要
実証名 | IP放送実証試験 | |
期間 | 2022年11~12月 | |
場所 | ケーブルテレビ株式会社 | |
目的 | ①JDSの地上光ネットワーク信号を使ったIP放送の実現 ②10G-EPON OLT/ONU間でのIPv6マルチキャスト信号の導通確認 ③IP-STBでの視聴確認 |
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各社の役割 | 当社 | 関連システム・装置・STBの提供 |
ケーブルテレビ株式会社 | FTTH実証環境の提供 | |
JDS | 試験信号の提供およびサービス 性能の評価に関する指導 |
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KDDI | STBの実用性に関する指導 |
今後とも当社は、ケーブルテレビ事業者のオールIP化に貢献すべく、関連システム・装置の開発や標準化の推進に積極的に取り組んでまいります。
■ ケーブルテレビにおける放送のIP化について
一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟は、2021年『2030 ケーブルビジョン』において、地域における情報メディア・プラットフォーム実現に向け、放送のIP化で地域情報と放送サービスを有機的に連携することを提唱。
・参照URL:https://www.catv-jcta.jp/release/lists/2021
*1 オールIP(インターネットプロトコル)化
現在のケーブルテレビでは、放送サービスはRF方式で行われている。RF方式からIPマルチキャスト放送へ移行することにより、通信・放送をすべてIPで行う。
*2 IP マルチキャスト放送
光ファイバー等の高速回線のIP通信を用いて、一斉に多数のユーザーに対して映像や 声等の番組コンテンツを配信するサービス。
*3 JDSのACAS配信信号
JDSが配信しているACAS(4K/8K衛星放送で使用されるCAS方式)で暗号化されたCSデジタル放送配信サービス。
*4 RF(Radio Frequency)方式
テレビ放送を電波で送る方式。