22 June 2023

長距離海底直流送電の実現に向け、NEDOケーブル防護工法・敷設船などの技術開発に採択

住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下 当社)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下 NEDO)の「多用途多端子直流送電システムの基盤技術開発/ケーブル防護管取付等の 工法開発及び新型ケーブル敷設船等の基盤技術開発」に係る公募に、古河電気 工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森平英也、以下 古河電工)、日本郵船株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:曽我貴也、以下 日本郵船)、株式会社商船三井(本社:東京都港区、代表取締役社長:橋本剛、以下 商船三井)と共同で提案し、このたび採択されました。

北海道などの風力発電の適地から電力の大需要地に送電するには、電力系統を増強する必要があり、長距離海底直流送電が有望とされています。本NEDO事業ではケーブルの防護工法や、日本特有の海象・気象に対応した敷設船などの基盤技術を開発し、系統増強にかかるコスト低減や工期短縮を図り、洋上風力 などの再生可能エネルギー(以下「再エネ」)の導入拡大に貢献することを目指します。



1.概要
日本の再エネ比率向上のためには、風況が良く立地制約が比較的少ない洋上や離島周辺を活用した風力発電の導入を拡大することが重要です。しかし、風力発電の適地は北海道や東北、九州など電力の大需要地から離れており、今後さらに大量導入していくためには、既存の電力系統の容量では送電が難しくなることが想定されています。この課題を解決するには電力系統を増強する必要があります。なかでも、“交流”に比べて送電損失が少なく、送電線コスト面でも長距離送電に有利な“直流”を用いた長距離海底直流送電の構築が有望な方策とされており、早期の整備が期待されています。しかしながら、これまでNEDOによる調査などにより、北海道などから大需要地までの海洋ルートには、ケーブルを埋設できない岩盤域での敷設が多くなると推定されており、防護管の取り付けによる工期の長期化やコスト増加が予想されます。このため、ケーブル防護工法のコスト低減や、日本特有の海象・気象に対応できるケーブル敷設船、その艤装(ぎそう)設備などの技術開発が不可欠です。

NEDOは本事業を通じて、風力発電の導入拡大に向けて北海道など風力発電の適地から大需要地まで効率的に送電可能な電力系統を実現し、「第6次エネルギー基本計画」で掲げられた2030年の再エネ比率(36~38%程度)の達成を目指しています。このためNEDOは本事業で、複数の洋上風力を効率的に電力系統と接続でき、異なる供給区域を結ぶ地域間連系線としても活用可能な多端子直流送電システムの技術開発に取り組んできており、今般、海底直流ケーブルの敷設に関する本技術開発テーマを採択しました。

2.内容
NEDOは本事業で、複数の洋上風力を効率的に電力系統と接続でき、異なる供給区域を結ぶ地域間連系線としても活用可能な多端子直流送電システムの技術開発に取り組んできており、今般、海底直流ケーブルの敷設に関する技術開発テーマを新たに開始しました。このたび採択されたテーマでは、ケーブル敷設船上で防護管をケーブルに高速で取り付ける工法などを開発し、既存工法に比べて20%のコスト低減と、工期短縮を目指します。また、大容量の長距離海底直流送電ケーブル敷設に必要となる大型ケーブル敷設船や接続船・埋設船などの開発を行います。

当社は本事業の枠組で2020年より「直流深海ケーブルの開発」に取り組んでおり、大型ケーブル敷設船の概念設計にも取り組んできました。本件は2件目の技術開発テーマ採択になり、これまで国内外で培ってきた直流海底送電や洋上風力の海底送電の技術・実績も含め、本事業への参画を通じて洋上風力など再エネの大量導入を可能とする長距離海底直流送電の早期構築を実現させ、「第6次エネルギー基本計画」で掲げられた2030年の再エネ比率(36~38%程度)の達成に貢献します。

3.採択テーマ
【1】事業名
多用途多端子直流送電システムの基盤技術開発
ケーブル防護管取付等の工法開発及び新型ケーブル敷設船等の基盤技術開発
【2】予算
約10億円(2023年度)
【3】期間
2023年度~2025年度(予定)
【4】実施内容(開発分担)

テーマ案 担当
1. ケーブル防護管取付等工法開発 ① 防護工法開発 防護管工法の開発 住友電工
大水砕石投入装置開発 古河電工
② 長距離ケーブル監視技術開発 住友電工
③ 海洋技術検証 住友電工
古河電工
2. ケーブル敷設船等の基盤技術開発 ① 敷設船開発 日本郵船
住友電工
② 接続船/埋設船開発 商船三井
古河電工
3. 共通基盤技術調査等 ① 試験方法検討 古河電工
住友電工
② 海外調査 住友電工
 

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従来の敷設船上でのケーブル防護管取付例 (本事業で自動化・高速化の開発を予定)
prs070_3
国内の中型布設台船の例 (大型自航式敷設船の開発予定)

プレスリリース

長距離海底直流送電の実現に向け、NEDOケーブル防護工法・敷設船などの技術開発に採択

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