新興国の交通渋滞を緩和せよ ~経済成長の陰で起きる都市問題~
東南アジア諸国は、著しいスピードで世界経済を牽引するまでに成長を続けている。それに伴い都市を中心とした諸問題が惹起(じゃっき)しており様々な取り組みが進められているが、中でも、都市への人口集中に伴う交通渋滞は各国で大きな課題の一つだ。そのエリアの一つが、カンボジア王国(以下、カンボジア)の首都プノンペン都。人口約185万人を有するカンボジアの政治経済の中心であり、2010年以降の急速な経済成長(GDP成長率6.5%)を背景に、登録車両台数は2000年の6万1千台から2012年には26万8千台と、約4倍強も増加しており、現在も加速度的な増加傾向を見せている*。それに伴い、交通渋滞が深刻化しつつある。この課題解決に向けてカンボジア政府は、日本政府に対し、交通管制システム等の導入に関する無償資金協力を要請。独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)が主導するプロジェクトがスタートする中、住友電工グループは三菱商事株式会社(以下、三菱商事)とコンソーシアムを結成し案件を受注した。交通管制システム導入による、プノンペンの交通渋滞改善、交通安全向上の実現に向けた、住友電工グループの3年以上におよぶ、現地での奮闘の軌跡を追った。
*JICA資料「カンボジア国 プノンペン都交通管制システム導入 計画準備調査 協力準備調査報告書」より