28 November 2024

住友電気工業株式会社（本社：大阪市中央区、社長：井上 治、以下「当社」）は、アキシャルギャップモータの高出力化に貢献する極薄・高耐圧の絶縁コーティングを施した圧粉磁心の量産を開始しました。

当社では、以前より絶縁塗装処理した圧粉磁心を生産していますが、このたび、膜厚40μmで絶縁耐圧5kVの極薄・高耐圧の絶縁コーティングを施した圧粉磁心を開発し、量産を開始しました。この新たな技術により、固定子に巻く銅線のターン数が約14％増加し、またコイルの熱を効率よく放熱できることから、アキシャルギャップモータの高出力化が実現します。

当社は、長年の量産実績を基に、圧粉磁心の材料技術やプロセス技術をさらに発展させ、各種モータの要となる高性能な磁心部品を提供することで、お客さまの製品の付加価値向上に貢献します。

■絶縁塗装処理した圧粉磁心の特長
モータの高性能化には、固定子に巻く銅線のターン数を増加させる、もしくは銅線への通電によって発生したコイルの熱を効率よく放熱する、などの手法があります。当社の絶縁コーティングを施した圧粉磁心は、以下の特性によりこれらの手法を両立するとともに、一般的な固定子の絶縁手法である絶縁紙や樹脂ボビン等を省略することが可能です。これにより、同プロセスに関連する設備投資の削減を可能とします。

１．絶縁塗装の膜厚が40～50μmと薄く、銅線を巻ける空間（スロットスペース）を広く確保できます
２．絶縁塗装の膜厚40μmで絶縁耐圧5kVと高い絶縁性を備えています
３．銅線（コイル）の熱を、薄い絶縁塗装を通じて圧粉磁心へ素早く放散し、コイルの温度上昇を大幅に抑制できます

■「アキシャルギャップモータ」と「当社の圧粉磁心」の特長
近年、モータの軽薄化・高性能化への要望の高まりから、従来のモータ（ラジアルギャップモータ）の基本構造を革新的に変更し、軽薄化を実現しつつ出力密度を高めた「アキシャルギャップモータ」が注目されています。当社の圧粉磁心（FMCMシリーズ）は、ナノオーダーの絶縁皮膜で覆われた鉄粉を成形・加熱処理した材料で、高い三次元形状自由度を持ちながら、優れた軟磁気特性を発揮するため、アキシャルギャップモータの固定子用の磁心（ステータコア）に適しています。

今後とも、当社は技術革新に努め、お客様にとって価値ある製品を提供し続けてまいります。

（ご参考）
■アキシャルギャップモータ の特長
https://sumitomoelectric.com/jp/products/powdermagneticcore/axialgapmotor
■従来のモータ構造を変えるアキシャルギャップモータ
https://www.youtube.com/watch?v=7zVszWzXhRw