10 June 2024
Interop Tokyo 2024 ShowNetでAPN拡大に向けROADM網を経由した複数拠点収容サービスを実証
住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下「当社」)は、6月12日(水)~14日(金)に幕張メッセで開催されるInterop Tokyo 2024で、開発中の「FTU9100(メトロ向け集線イーサネットスイッチ*1)」を用いた日本初となるROADM網*2を経由する複数拠点収容サービスを実証します。
Interop Tokyoは日本最大級のICT(情報通信技術)展示会であり、出展社が持ち寄った最新技術/最新製品を使ってインターネットにつながるネットワークを会場内に構成し、 各種の相互接続実証を行うデモンストレーションプロジェクトShowNetが実施されます。
当社はInfinera社(本社:米国、CEO:David W. Heard)と共に「ICE-Xコヒーレント通信トランシーバ」の性能を引き出すための開発を行っており、この度ShowNetにおいて、当社開発中のFTU9100(メトロ向け集線イーサネットスイッチ)を提供し、APN*3拡大にむけた実証を行います。FTU9100が制御する、Infinera社の光コヒーレントトランシーバ*4「ICE-Xコヒーレント通信トランシーバ」によるICE-Xコヒーレント通信*5が、波長多重や光増幅などで大容量・長距離伝送を実現するROADM網を経由しても、複数拠点収容サービスが提供できることを実証します。
インターネットへつながるネットワークにおいて、ROADM網を経由するICE-Xコヒーレント通信トランシーバを使った複数拠点収容サービスを提供する取組みは日本初の試みとなります。
一般的なトランシーバによる通信は、拠点(通信局舎など)と拠点(法人オフィス・無線基地局など)をつなぐ一対一接続になりますが、ICE-Xコヒーレント通信トランシーバによる通信は、1つの拠点と複数の拠点をつなぐ一対多接続が可能になります。 この特長により、利用する光ファイバの量を減らしながら複数拠点をつなぐ複数拠点収容サービスを提供できるため、光ファイバを始めとするTCO(Total Cost of Ownership)*6削減が可能となります。
一対多接続は、ネットワークから端末まですべてにフォトニクス(光)ベースの技術を活用し、「高速・大容量」「低遅延」「低消費電力」を実現するAPNを、低コストで実現・普及するために欠かせない技術です。
APNはROADM網の技術の上に成り立つことが想定されます。インターネットへつながるROADM網を経由した複数拠点収容サービスの実証によって、将来的に低コストでより広範なAPNが実現可能となります。
当社は今後も、インターネットアクセス機器事業の経験を用いて、Infinera社のICE-Xコヒーレント技術の特長を活かす製品開発を進め、APNの拡大、通信ネットワークの高速・低遅延化の実現に貢献してまいります。
実証内容 | 「ICE-Xコヒーレント通信トランシーバ」を装着した「FTU9100(メトロ向け集線イーサネットスイッチ)」によるROADM網を経由した複数拠点収容 |
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期間 | 2024年6月12日(水)~14日(金) |
関連サイト | ・https://f2ff.jp/2024/interop/exhibitor/show.php?id=2433 ・https://www.interop.jp/2024/shownet/ |
【用語解説】
*1 イーサネットスイッチ
流れてくるデータを指定された装置に転送する機能を持ち、多数の装置間の通信を成立させる役割を担います。
*2 ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)網
ROADM網はROADM装置で構成される大容量・長距離伝送を実現するネットワークです。ROADM装置は波長の異なる複数の光信号をまとめて伝送する波長多重機能や長距離伝送によって弱くなった光を強くする光増幅機能などを持ちます。
*3 APN(All Photonics Network)
130を超える組織・団体が参画する次世代ネットワーク・情報処理基盤の実現を目指す 国際フォーラムIOWN Global Forumにてアーキテクチャ策定が行われているフォトニクス技術をベースとした革新的ネットワーク。IOWNのユースケースを支えるネットワークとして、必要なときに必要な地点間を光パスでダイレクトに接続可能にします。
・「IOWN」は、日本電信電話株式会社の商標又は登録商標です。
*4 光コヒーレントトランシーバ
主に長距離、高速の光通信であるコヒーレント通信を実現する送受信部品。光の波長毎に 通信データを伝搬することができ、光ファイバ1本あたりの通信量を大きくできます。
*5 ICE-Xコヒーレント通信
米国Infinera社が開発した光コヒーレント技術を用いて、一対多の通信を実現するトランシーバ技術。コヒーレント技術の「長距離」「高速」といった特長を活かしつつ、複数の加入者への通信サービスを一つの光コヒーレントトランシーバで実現できることが特長です。
*6 TCO(Total Cost of Ownership)
設備投資、維持管理など、導入から廃棄までを含めた費用総額のこと。