29 November 2022

北海道電力ネットワーク株式会社と 架空線ダイナミックレーティングシステム導入に向けた実証試験開始

住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治 以下「当社」)は、北海道電力ネットワーク株式会社(本社:北海道札幌市、取締役社長 社長執行役員 藪下 裕己、以下「北電NW」)と、再生可能エネルギーの更なる導入拡大に向けて、11月から架空線ダイナミックレーティングシステム導入に向けた実証試験を、稚内エリアにて共同で開始しました。
 
再生可能エネルギーの拡大に伴い、電力系統の送電容量増強のニーズが高まっています。しかし、送電線の張り替えや増設には多額の費用と時間が必要なため、既存の電力系統を有効活用することが重要です。

そこで期待されているのが、ダイナミックレーティング(以下、DLR)システムです。本システムは、送電可能量(送電線に流せる電気の量)に影響する送電線温度と電流値をリアルタイムで測定、動的計算するものです。架空送電線に本システムを導入することで、気象条件の影響を受けた送電線データを常時把握し、変動する送電可能量に応じた既存の電力系統運用が可能になると見込んでいます。

このたび、北電NWの電力系統において、架空線DLRシステム導入に向けた冬季実証を行います。今後は本システムと、既設送配電設備の潮流(電気の流れ)を常時監視し、設備容量を超過しないよう発電所に指令する「潮流調整システム」との連系実証も実施することで、再生可能エネルギー電源の有効活用をめざします。

実証DLRシステムの構成
実証DLRシステムの構成

■実証試験について
 

実証概要 機器安定動作確認、データ計測、許容電流予測等
実証期間 2022年11月~2023年10月(予定)
実証エリア 稚内方面(鉄塔3箇所にセンサーを設置)
当社担当製品 DLRシステム
(DLRセンサー、気象センサー、集約装置、演算装置)


  ■当社の架空線DLRシステムの技術特長


(1) センシング技術:温度センサーに熱電対を用い、電線温度を直接計測します。 熱電対を筐体やアーマロッドより離した位置に設置することで、架空線の温度・電流を正確に測定することが可能です。 また、送電線鉄塔に、気象センサー(風向風速計、気温計、日射計)を設置し、リアルタイムに気象を観測します。

(2) 伝送技術:センサー間は920MHz帯自営無線でネットワークを形成します。無線はホッピング機能を有し、最大50ホップ可能です。センサーデータを集約する装置から最後は携帯電話の閉域網を利用して、クラウドサーバーへデータを伝送。これにより、集約装置のみが携帯電話エリア内にあれば、どこからでもクラウドサーバー経由で事業所にデータを伝送することが可能です。

(3) 機器電源:DLRセンサーは、架空線に流れる電流から給電します。そのため、電池交換等のメンテナンス目的の送電停止が不要で、電源の無いところで装置稼働が可能です。

(4) 耐候性の確保:DLRセンサーに高温、長寿命部品を選定しました。基板部はシリコン系樹脂で防水し、筐体は架空線と同じアルミを使用しています。またコロナ放電が発生しにくい、施工性の良い半割円柱構造を採用しており、過酷な環境下での安定動作が可能です。

当社DLRシステムの基本構成
当社DLRシステムの基本構成

当社は、北電NWとの長期実証を通じ、提供する製品・サービスの信頼性を検証しながら、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。



■ ご参考



・北海道電力ネットワーク株式会社 プレスリリース(2022年11月29日)
 再生可能エネルギーの導入拡大に向けた ダイナミックレーティングシステム実証試験の開始について

プレスリリース

北海道電力ネットワーク株式会社と 架空線ダイナミックレーティングシステム導入に向けた実証試験開始

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