15 December 2014
LTE小型基地局用オールインワン無線モジュールのサンプル出荷開始
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住友電気工業株式会社
このたび当社はLTE小型基地局用オールインワン無線モジュール「TPM-2606P2」のサンプル出荷を開始しました。本モジュールを使用することでLTE小型基地局の開発期間と製造期間を大幅に短縮することができます。
近年のスマートフォン普及などにより、携帯電話システムの通信量は爆発的に増加しています。その有力な対応策として、通信が集中する小規模エリアを専用にカバーする「スモールセル」の導入が始まっています。当社は既に製品化済の携帯電話基地局用リモートラジオヘッドの技術(*1)をベースに、スモールセルに設置される小型基地局用のオールインワン無線モジュールを開発し、基地局メーカーにサンプル出荷を開始しました。
今回サンプル出荷を開始したオールインワン無線モジュール「TPM-2606P2」は今後普及が進む2.6GHz帯のTD-LTE(*2)用基地局向けであり、基地局構成に必要な全てのRF回路(送信増幅器、受信増幅器、送受切替スイッチ)をコンパクトにモジュール化しています。このため、本無線モジュールを使用することで、LTE小型基地局メーカーにおいて開発期間・製造期間を大幅に短縮することができ、今後のスモールセル導入を容易にします。
【当社オールインワン無線モジュール「TPM-2606P2」の特長】
1.送信増幅器
ドハティ型増幅器(*3)の採用により、40%以上(LTE信号6W出力時)の高い電力利用効率を実現しています。
2.受信増幅器
バランス型増幅器(*4)により低雑音、高耐入力電力とアンテナ端子の低反射特性を同時実現しています。
3.送受切替スイッチ
サーキュレータ(*5)との組合せにより低損失なスイッチを実現すると同時に、印加電力を低減し信頼性を高めています。
4.歪補償回路
送信増幅器で生じる歪を補償する回路を内蔵しているため、外部に高価な歪補償回路が不要です。更に製造現場での増幅器と歪補償回路との組合せによる規格未達などのトラブルを防ぎます。
今回サンプル出荷を開始した「TPM-2606P2」以外に2.6GHz帯のFDD-LTE(*6)用や3.5GHz帯TD-LTE用の開発を進めています。ご要望により送信電力や周波数変更も可能ですので、お問い合わせ下さい。
【主な仕様】
項目 | 仕様値 | 備考 |
周波数 | 2,496 - 2,690MHz | 3Gpp規格 band41 |
<送信部> | ||
飽和出力電力 | 45dBm以上 | アンテナ端子にて規定 |
送信利得 | 50 ± 2.0dB以内 | |
隣接チャンネル漏洩電力 | -47.0dBc以下 | LTE信号(PAPR=7dB) 6W出力時 |
<受信部> | ||
受信利得 | 20 ± 2.0dB以内 | |
雑音指数 | 2.5dB以下 | |
入力IP3 | 0dBm以上 | |
<その他> | ||
動作温度範囲 | -33~+85℃ | ベース板温度にて規定 |
消費電力 | 23W以下 | 送信比率80%時 |
寸法 | 143mm(W)×103mm(D)×17mm(H) |
【機能ブロック図】

【外観】

*1 2011年6月16日当社リリース
*2 TD-LTE:
3.9世代の携帯電話通信方式LTEのうち、送信と受信を時分割で切り替える方式。
*3 ドハティ型増幅器:
増幅器を2並列で構成し、出力電力が低い時は一方の増幅器のみを動作させ、出力電力が高い時は両方の増幅器を動作させることにより、高出力と高電力利用効率を両立させる増幅器。
*4 バランス型増幅器:
増幅器を2並列で動作させ、入力信号への耐性を2倍にすると共に2つの増幅器からの反射信号を打ち消す構成とすることで、トータルとしての反射信号を減少させることができる構成の増幅器。
*5 サーキュレータ:
3端子を持つ受動電子部品で、あるポートに入力した信号が次のポートにのみ出力され、最後のポートに入力した信号は最初のポートに出力される特性を持っている。
*6 FDD-LTE:
3.9世代の携帯電話通信方式LTEのうち、送信と受信を周波数で分割する方式。