日本の電子立国を支え続けてきたFPC
~時代の要請に応え、次代を見据える~
フレキシブルプリント回路 (以下、FPC*)は、その名が示すように、自在に曲げたり、変形させたりすることができるフレキシブル(柔軟)な回路配線材である。軽く薄く、自由に曲がることから、エレクトロニクス機器の小型軽量化、薄型化に大いに貢献してきた。耐熱性に優れているため、リフローソルダリング(加熱半田処理)による電子部品実装を可能とし、繰り返し屈曲に耐え得ることからエレクトロニクス機器の可動部の配線材として欠かせない存在となっている。また、機器内部の省スペース化を実現するため、デザイン幅の拡大や高機能化にも貢献している。こうした特長を活かして、たとえばスマートフォンを含む携帯電話やデジタルカメラの内部配線、光学ドライブの可動部配線などに広く採用されている。FPCは、様々なエレクトロニクス機器が進化を遂げるその一翼を担い、日本経済の成長を支えてきた存在の一つなのだ。
住友電工グループは、国内では他社に先駆けて、1960 年代半ばからFPCの研究開発に着手、1969年に FPC事業を開始した。以来、時代と市場ニーズに応えて製品を供給し、2000年代に入るとエレクトロニクス機器の軽薄短小化や高機能化の要請に応え、超微細回路であるファインピッチを実現、FPC の進化を加速させてきた。そして今、FPC事業は大きな転換期を迎えている。キーワードは「配線材から機能部品へ」。事業開始から半世紀余りを迎え、住友電工グループのFPCは、次代を見据えた新たな挑戦を開始している。
*FPC:Flexible Printed Circuit
スマートフォン1台分のFPC製品群 極薄の絶縁フィルム上に銅箔の電気回路を形成した配線材料