ニッチでコアな市場ならではのソリューションビジネス展開 ~これからの光学部品事業戦略~
多彩な営業活動で市場を開拓
卓越した技術の結晶ともいえる住友電工グループの光学部品。それでは、どのようにして市場拡大を図っていこうとしているのか。今後の営業戦略について、住友電工・ハードメタル事業部直需営業部の奥野嗣敏は語る。
「近年はスマホや自動車に限らず世の中にあるほとんどの製品およびその構成部材に幅広くレーザー加工プロセスが適用されるようになっており、それぞれの加工プロセスに特化した専用機の需要が急速に高まっています。従来、当社光学部品は主に大手レーザー加工機メーカーが製造する板金やプリント基板向け汎用機に適用されてきましたが、現在はこうしたさまざまな専用機に対する付加価値の高いカスタム品の受注活動に力を入れており、それぞれに最適な光学部品を提案、提供することで、生産性や品質の向上に貢献しています。また専用機を製造するシステムインテグレーターや関連機器メーカーなどとレーザー加工業界内でネットワークを構築、協業を進めるとともに、専用機ユーザーとなる部材メーカーとの関係を強化するなかで、新しいレーザー加工ニーズを把握し、そこに適用される光学部品の製品開発につなげています」(奥野)
光学部品の拡販の一翼を担っているのが、住友電工グループの一員である宝産業(株)である。同社第一営業部の山本恵理奈氏は、「お客様がレーザーを使って何をしたいのか。それを的確に把握することから営業活動は始まる」と言う。
「ヒアリングを重ね、お客様の真の課題やニーズを明確にしていきます。住友電工グループの開発部門と顧客の橋渡しをするなかで、要求仕様と実現可能性をすり合わせ、製品としての着地点を見出していくことが重要です。こうした折衝を重ねて実現した光学部品が、毎年発売されるエレクトロニクス機器、自動車など世界の最新製品につながっている、貢献できていると実感できるのが大きな喜びです。今後は、新しいお客様と住友電工グループの光学技術を積極的に結び付けて、新しい市場・産業分野を創造するような営業開拓力を身に付けたいと頑張っています」(山本氏)
住友電工グループとして注力している光学部品の海外拡販にも、今後、宝産業は貢献していくことになる。米国サンフランシスコで開催された世界最大の光学技術展示会に、同社の安田佑氏が参加した。「光学関連製品の世界市場の大きさを実感しました。住友電工グループが積極的に推し進めている海外拡販に貢献できるよう、新しい海外ユーザーとの良好な関係構築へ積極的にコミットしていきたいと考えています」(安田氏)
宝産業は、レーザービームのパワー測定器のような他の住友電工グループ企業が扱っていない製品を調達して、住友電工グループの製品と組み合わせてシステム全体で提案するなど、顧客満足度の向上へ新たな取り組みも進めている。
光学系ソリューションビジネスから、その先へ飛躍を目指す
営業と歩調を合わせ、開発の現場も精力的な動きを見せている。住友電工ハードメタル(株)光学部品開発室長・布施敬司はマーケティングファーストがレーザー加工技術の進展につながると確信する。
「当社は、レンズやミラーのような基本製品から、FθレンズやDOEなどの高機能製品まで、幅広くトータルに光学部品を提案、提供できる体制を整えています。特に、顧客のニーズに応じて光学部品を最適に組み合わせ、光学系全体のソリューションを提供することを1990年代から志向しており、お客様と一緒にさまざまな光学部品・光学系製品を開発してきた歴史、実績があります。これまでは国内向けが中心でしたが、海外からの引き合いが増えており、海外関係会社や代理店と協力して体制強化・拡販を進めています。今後は、光学特性のみならず加工特性までフォローし、レーザー発振器や周辺装置も含めた加工機全体への提案ができることを目指します。お客様の仕事を成功へつなげることで当社の評価を高め、選ばれるメーカーになれるよう努力します。そうした活動がレーザー加工技術の高度化と普及・拡大につながり、社会の発展に貢献できれば幸いです」(布施)