特集:地球環境に係る課題への取り組み

サステナビリティ推進体制
サステナビリティ推進体制※2

住友電工グループでは、「地球温暖化の深刻化」「資源の枯渇」「災害の頻発、被害の甚大化」といった地球温暖化や気候変動などに係る課題を、経営の最重要課題の一つと位置づけてきました。現在は、「パリ協定※1が要求する水準での温室効果ガスの排出削減を2030年までに目指す」という目標を掲げ、2050年カーボンニュートラルの達成に向けた対応を強化しています。また今年1月に新設した社長直轄のサステナビリティ経営推進委員会では「環境」を重点テーマの一つとして取り扱うなど、今後も地球環境に係る課題への取り組みを一層推進していきます。

※1 パリ協定:世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの。

※2 サステナビリティ経営推進委員会のもとに、全社のCSR活動推進やCSR報告書の発行等を担うCSR推進委員会を、また価値創造プロセスのブラッシュアップや当社グループが注力する社会課題の特定、統合報告書の発行等を担う統合報告委員会を設置しています。

温室効果ガス削減目標の設定

当社グループでは、地球環境に係る課題を経営の最重要課題の一つと位置づけ、「環境方針※3」に基づき、「アクションECO-22V」運動※4の推進による環境負荷の低減や、製品およびサービスの提供を通じた課題解決に取り組んでいます。
その一環として、このたび、2030年および2050年に向けた温室効果ガス削減目標を定め、2021年5月に公表しました。今後、目標達成を目指した取り組みを推進していきます。

※3 当社グループ「環境方針」

※4 「アクションECO-22V」運動:対循環型社会の実現を目指した環境負荷低減活動を、2018年度から5カ年計画で進めています。

※5 当社グループの温室効果ガス削減目標の対象には、非上場のグループ会社の他、以下の会社を含みます。住友理工株式会社、日新電機株式会社(何れもグループ会社を含む)

温室効果ガス削減目標※5

概要
2030年目標 2030年までに、パリ協定が要求する水準での温室効果ガスの削減目標達成を目指す。
【目標値】
・Scope1+2(当社グループ自らによる温室効果ガスの直接排出と、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出):2018年度基準で、2030年度までに30%削減する。
・Scope3(Scope1、Scope2以外の間接排出):2018年度基準で、2030年度までに15%削減する。
2050年目標 2050年までに、カーボンニュートラルの達成(CO₂排出実質ゼロ)を目指す。

温室効果ガス削減のための取り組み

CO₂をはじめとする温室効果ガスの削減目標達成に向けた具体的な手段としましては、地球環境への負荷を最小化するという観点から、生産性向上や新技術導入による「省エネ」、太陽光発電などによりグリーンエネルギーを創り出す「創エネ」、再エネ電力調達による「購エネ」の3つに分けて、具体的なターゲットを設けて活動を展開していきます。
まず、「省エネ」につきましては、製造部門・研究部門・生産技術部門が一体となり、熱エネルギーの有効活用など、当社グループの技術力を活かした対策に取り組みます。
次に、「創エネ」「購エネ」につきましては、当社グループの製造拠点などにおいて、太陽光などの社内発電と、グリーン電力購入を組み合わせて、ネットゼロ化を目指す構想を具体的に検討してまいります。また、当社グループのレドックスフロー電池を組み合わせることにより、災害時に周辺地域へ電力を供給することで、地域社会への貢献を果たすことも検討してまいります。
また、その他、環境への取り組みといたしましては、地球・社会に恩返しするため、従来から取り組んでおります「省資源・リサイクルの推進」、「環境負荷物質の削減」、「生物多様性保全」といった取り組みを引き続き進めていきます。さらに当社グループでは、たとえばポアフロン®精密ろ過膜モジュールによる汚水処理を行う水処理事業を営んでおりますように、地球からの恩恵である、限りある資源を、当社グループの技術・製品を通じて次世代に伝えるための取り組みも進めていきます。
こうした取り組みを通じて、モビリティ、エネルギー、コミュニケーションの3つの領域で、現行の中期経営計画22VISIONで示した「環境に優しい社会」「安全安心な社会」「快適で成長力のある社会」の実現を目指します。

SBTi
TCFD

温室効果ガス削減目標の「SBTi」認定取得およびTCFD提言への賛同について

なお、2030年に向けた温室効果ガス排出削減目標につきましては、国際的イニシアチブ「SBT(i Science Based Targets initiative)※6」が求める水準に整合したため、同イニシアチブから認定を取得しました。

また、持続可能な環境負荷の少ない社会の構築により一層貢献していくため、2021年5月には「気候変動が事業にもたらすリスクおよび機会を分析し、その情報開示を推奨する」という「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)※7」提言の趣旨にも賛同を表明しました。

当社グループは、SBTi認定取得やTCFD提言趣旨への賛同を契機として、今後も、2050年カーボンニュートラルの達成に向けた対応など、地球温暖化や気候変動をはじめとする地球環境に係る課題解決に向けた取り組みや気候変動に関する情報開示を進めていきます。

※6 SBT(i Science Based Targets initiative):CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトを前身とする国際NGO)・UNGC(国連グローバル・コンパクト)・WR(I 世界資源研究所)・WWF(世界自然保護基金)の4つの機関が共同で運営する共同イニシアチブ。パリ協定(※1)に適合した温室効果ガス削減目標に対し、「科学的な裏付けによる目標」の認定を付与しています。

※7 TCFD:G20(金融・世界経済に関する首脳会合)の要請を受けた金融安定理事会(FSB)により設立されたタスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)。気候変動を「リスク」と「機会」として捉え、温室効果ガスによる気温上昇が企業財務に与える影響を開示することを提言し、政府機関、金融機関、企業に対して賛同を呼び掛けています。

自社製造で発生する温室効果ガス(CO₂)削減
自社製造で発生する温室効果ガス(CO₂)削減