キャブタイヤケーブル
キャブタイヤケーブルとは
キャブタイヤケーブルとは、過酷な作業現場で用いられる、耐摩耗・耐衝撃・耐水性・耐熱性・柔軟性に優れた、主に移動用(給電したまま移動できる)に使用されるケーブルです。
cab(辻馬車)に使用される強靭なタイヤがキャブタイヤケーブルの語源とされており、工場や倉庫などの天井クレーンの他にも、港湾、製鉄所、ゴミ処理場、鉱山、造船所などで使用される大型の産業機械用の給電線や仮設電源として使用されています。
さらに、新しい分野では風力発電機や太陽光発電設備、電気自動車の給電用ケーブルなどでも使用され、強靭でありながら柔軟性をあわせもつ特長を生かして幅広い用途で人々の暮らしを支えています。
キャブタイヤケーブルは、通電を行う導体の周りに絶縁層があり、それを1本或いは複数本より合わせた上にシースを被覆した構造となっています。キャブタイヤケーブルの特長の一つである柔軟性と強靭性は、固定用の電線やケーブルと異なり、0.5mm以下の細い径の銅線をよりあわせた導体と、絶縁やシースに使用される材料にも柔軟性と耐久性を兼ね備えた材料を採用することで実現しています。
使用用途により絶縁やシースの材料や構造が異なり、家庭用の電気機器の給電線など比較的軽易な用途で使用されるビニルキャブタイヤケーブル(VCT)から、一般的な移動用途で使用される2PNCTや3PNCT、大型産業用機械やクレーンなどで使用される特殊移動用途のF-2PNCTやF-2PNCT補強形など、使用環境や用途に適した幅広い品種やサイズがあります。
キャブタイヤケーブルの使用方法や構造については、国内では「電気用品安全法」や「電気設備に関する技術基準を定める省令」等の法令に規制があります。これらの法令に則ってご使用下さい。
また、使用いただく際には許容電流や電圧降下を考慮していただく必要がありますが、これらについては当社の技術資料をご参照下さい。
ラインアップ
キャブタイヤケーブルは汎用品種の2PNCT・3PNCTを始め、大型産業用機械に用いられるF-2PNCT、火力・原子力発電所の仮設配線に用いられるSF-2PNCT、風力発電施設向けケーブル、特殊仕様品などをラインアップしております。また、お客さまのニーズに合わせたカスタマイズ品もご提供いたします。
ゴムキャブタイヤケーブル(汎用)
2PNCT、3PNCT
ゴムキャブタイヤケーブル(特殊移動用)
F-2PNCT、F-2PNCT補強形、F-3PNCTなど
ビニルキャブタイヤケーブル
VCT、VCTF、ハイテンプVCT、フレックス1 VCTなど
エコキャブタイヤケーブル
EM-2PPCT、EM-3PPCTなど
用途別
SF-2PNCT(高難燃)など
その他カスタマイズ製品
使用環境・用途に応じてご提案します。
用途
当社のキャブタイヤケーブルは、下記のような幅広い用途にご使用いただいています。
技術資料
ケーブルセレクションガイド
製品情報
住友電工のキャブタイヤケーブルに関する詳しい情報は次をご覧下さい。
ゴムキャブタイヤケーブル「2PNCT」「3PNCT」等
屋外での配線やクレーン・ホイスト等の産業機械の移動用配線として用いられるキャブタイヤケーブルで、絶縁体にエチレンプロピレンゴム(EPゴム)、シースにクロロプレンゴムを使用しています。一般的な仕様の他に大型産業機械での使用に耐えられる特殊移動用(通称“F-タイプ”)や垂直トレイ試験(IEEE Std.383:1974)に合格する高難燃仕様のキャブタイヤケーブルがあります。
エコキャブタイヤケーブル「EM-2PPCT」「EM-3PPCT」等
絶縁体およびシースに環境に優しいゴムを使用しています。一般のゴムキャブタイヤケーブルに比べ、燃焼しにくく(60℃傾斜試験合格)、火災・燃焼時に塩化水素ガスなどの有毒ガスが発生せず、煙の発生量が少ないという特長があります。
ビニルキャブタイヤコード・ケーブル「VCTF」「VCT」等
絶縁体およびシースにビニルを使用しています。ゴムキャブタイヤケーブルに比べ軽易な用途で使用されます。
高強度アルミ導体溶接用ケーブル「AL-EM-WCCT」
導体に高強度アルミをシースに環境配慮型の材料を使用した溶接用ケーブルです。従来の溶接用ケーブルに比べ50%以上の軽量化により、ケーブル作業の負担を軽減できます。