企業紹介
柏崎あい・あーるエナジー株式会社
本社:新潟県柏崎市
代表取締役社長:櫻井 雅浩(柏崎市長)
設立:2022年3月30日
概要:柏崎市および民間企業8社が出資し、エネルギー供給やエネルギー利用に関するサービスを行う自治体新電力会社。
【設置場所】
設置場所:柏崎市自然環境浄化センター
納入製品:レドックスフロー電池(1MW×8時間)
竣工予定:2024年3月
■2023年8月7日 当社プレスリリース
新潟県柏崎市「再生可能エネルギーと原子力のまち」に貢献 ~レドックスフロー電池を受注~
長寿命で安全性の高い住友電工のレドックスフロー電池を導入いただくことになった柏崎市の地域エネルギー会社、柏崎あい・あーるエナジー株式会社様。
代表取締役社長でもある櫻井 雅浩 柏崎市長に、同市の取り組みやレドックスフロー電池の導入理由などについてお話を伺いました。
インタビュアーは、住友電工エネルギーシステム事業開発部 部長 蒲田和幸です。
【背景】
「再エネと原子力のまち」として 新設の太陽光発電所から電力供給を開始
蒲田部長(以下、 蒲田):新潟県柏崎市は、明治時代におこった石油産業に始まり、昭和に入ってからは原子力発電所を誘致されるなど「エネルギーのまち」として発展してきました。その歴史は、首都圏の電力需要を支え、国のエネルギー政策に貢献してきた軌跡でもあると思います。そして現在は、再生可能エネルギー(再エネ)に力を注いでいらっしゃいます。
櫻井市長(以下、 市長):ご紹介いただいた歴史を踏まえ、これからは持続可能な社会で将来世代も豊かな生活を送ることができるよう 2018年に「柏崎市地域エネルギービジョン」を策定しました。「脱炭素のまち柏崎3.0」を見すえ、その途上として、現在は再エネと原子力発電が共存する「柏崎2. 5」を進めています。再エネと原子力の併存により、さまざまな施策を組み立てているところです。
具体的には、2022年3月に市と民間企業との出資により、地域エネルギー会社の柏崎あい・あーるエナジー(株)を設立しました。市内外から脱炭素電力を集めて市内の事業者や家庭に販売する電力小売事業の会社です。2023年8月1日には、国のお力添えを得て建設した2つの太陽光発電所から、電力供給を開始しました。まず公共施設に供給して一定の収益を確保し、今後は民間企業へ脱炭素電力を安価に送ることを目標としています。まさに2023年度は柏崎市の脱炭素元年です。
【課題】
増加する再エネの安定化には 高信頼性の大型蓄電池が不可欠
蒲田:脱炭素元年に住友電工のレドックスフロー電池の導入を決定いただいたわけですが、なぜ電力貯蔵が必要だとお考えになったのでしょうか。
市長:来年度の2024年度には太陽光発電所の増設を計画しているほか、今後は風況のよい日本海側で洋上風力発電が増えます。これら再エネの増加に対応するため、需給バランスを安定的に維持することが重要となります。太陽光発電は夜に発電できない、風力発電は風がなければ発電できないという課題の解決には、大型蓄電池が不可欠です。
私たちは一地方自治体として、次世代のエネルギー政策の一翼を担うという強い意志を持っており、それにふさわしい電力施設の整備を考えています。具体的には1年目で太陽光発電の出力は1,500kW、最終的には10,000kWレベルまで上げ、蓄電池も30,000kWを目指します。一地方自治体が有する施設としては突出した規模であり、この実現には優れた性能の大型蓄電池が欠かせません。
【導入理由】
住友電工レドックスフロー電池の 高い信頼性・安定性が決め手に
蒲田:数ある蓄電池のなかで当社のレドックスフロー電池を選定いただいた理由を教えてください。
市長:これからのエネルギー政策のお役に立とうと考えたときに、私たちが蓄電池に求めるのは、やはり品質の高さによる信頼性・安定性です。それらを総合的に判断し、 柏崎市として御社のレドックスフロー電池の導入を決めました。
事前に住友電工さんをはじめ、各社の工場を視察させていただき、御社の歴史・実績も存じ上げていました。北海道電力さんが導入されたレドックスフロー電池も拝見していたので、安心して選定することができました。
蒲田:ありがとうございます。レドックスフロー電池は環境にやさしく、長寿命という特長がありますので、柏崎市で長く使っていただける蓄電池になれば光栄です。
市長:寿命は20年と伺っています。これから脱炭素社会の実現への貢献を目指す私たちにとって、長期間にわたって使えるというのは心強いです。
蒲田:レドックスフロー電池は、電極ではなく電解液中のイオンの酸化還元反応を利用して充放電を行うため、充放電回数は無制限です。電極や電解液の劣化が少ないため、電解液は半永久的に利用可能で、リユースもできます。
市長:心強いといえば、レドックスフロー電池は燃えないので安全だということですよね。住友電工さんの高度な製品や技術については、御社が発行されている広報誌『id』を常に脇に置いて拝見しています。
蒲田:大変恐縮です。おっしゃる通り、レドックスフロー電池のもうひとつの特長が安全性の高さです。電解液には不燃性の水溶液を使用し、各種設備も難燃性の材料で構成されているので、発火リスクは非常に低いです。常温運転ができるのでヒーターなどの熱源が要らず、安心して運用いただけます。
【将来展望】
国と市、住友電工のコネクトで 脱炭素社会の実現をめざしていく
蒲田:こうしてお話を伺っていると、脱炭素に向けた柏崎市の役割の大きさと、市長の熱意をひしひしと感じます。
市長:柏崎市はこれまで一地方自治体として、エネルギーで日本の経済発展を支えてきたという自負があります。だからこそ脱炭素社会をつくりあげていく、その一翼を担うべく懸命に取り組んでいきたいと考えています。国の政策というバックグラウンドのもと、日本はもとより世界を代表する企業の住友電工さんをパートナーに得て、一歩を踏み出せることは大変ありがたいです。先日は大阪本社を訪問し、井上社長とも意見交換をさせていただきました。
住友電工さんのタグラインはConnect with Innovationですね。レドックスフロー電池はイノベーションであり、住友電工さんと国、私たち地方自治体がコネクトし、各々が役割を果たして脱炭素社会の実現に貢献する。私自身おおいに期待しています。
蒲田:まずは2024年春のレドックスフロー電池竣工に向けて、機器の製造、設置工事を進めていきます。今後も柏崎市と連携し、期待にお応えできるよう力を尽くしてまいります。
【柏崎市について】
新潟県のほぼ中央に位置し、日本海に面して延長42㎞の海岸線を持つ都市です。明治時代に石油が噴出したことで石油産業がおこり、関連したモノづくりによる工業も発展しました。その後1969年に原子力発電所の誘致が決定。2000年前後には7つの原子力発電所が稼働するなど、エネルギー産業のまちとして日本の経済を支えてきました。現在は脱炭素のまちを目指しています。
2023ぎおん柏崎まつり
海の大花火大会に協賛しました
毎夏、柏崎市の中央海岸で開催される人気の花火大会に、2023年は住友電工が初協賛しました。大会当日「テクニカルパッション! ! 」 という名で花火が打ち上げられると一層大きな歓声が上がり、ナレーションでタグライン「Connect with Innovation」も紹介されました。