27 September 2023
一芯双方向の光ファイバ網での家庭向け10G-EPON通信と 法人サービス向けICE-Xコヒーレント通信の重畳試験に成功
住友電工(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下 当社)は、家庭向けの10G-EPON通信*1と、Infinera社(本社:米国、CEO:David W. Heard)の法人サービス向け高速通信を実現するICE-Xコヒーレント通信*2が、一本の光ファイバで通信できることを、本年8月に当社大阪製作所にて実証(以下 本実証)いたしました。本実証は業界初の試みとなります。
本実証では、一般的なFTTHサービスに用いられる一芯双方向の光ファイバ網の模擬環境を当社大阪製作所実験室内に構築し、当社のFTTH向けPON装置製品である「FSU7100」を使用したPON通信と、Infinera社の光コヒーレントトランシーバ*3「ICE-Xコヒーレント通信トランシーバ」を装着させた当社開発中の「FTU9100(メトロ向け集線イーサネットスイッチ)」を使用した高速通信が、PON通信で使用する一本の光ファイバで同時伝搬することに成功しました。異なる波長を使用した多重通信により、家庭向け光インターネットサービスと同時にICE-Xコヒーレント通信の特徴である高速通信サービスが提供可能となります。
Infinera社のICE-X コヒーレント通信と、当社の培ったアクセスネットワーク製品の経験の組み合わせにより、PON通信用途で既に敷設されている光ファイバ網を使用しながら、通信速度を格段に向上させます。5Gやエッジコンピューティングなどの新しいサービスへの対応が期待されます。
実証名 | 10G-EPON / ICE-Xコヒーレント通信 重畳*4 実証試験 |
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実証期間 | 2023年8月1日(火)~31日(木) |
場所 | 当社 大阪製作所(大阪府大阪市此花区) |
目的 |
①1芯ファイバ網を使って、ICE-X コヒーレントトランシーバが通信可能であることの確認 ②当社製10G-EPON装置と同時にICE-Xコヒーレント通信を使用した時に相互に悪影響を及ぼさないことの確認 |
当社は今後も、インターネットアクセス機器事業の経験を用いて、Infinera社のICE-Xコヒーレント技術の特徴を生かす製品開発を進め、通信ネットワークの高速・低遅延化の実現に貢献してまいります。
*1 10G-EPON通信
主に家庭向け光インターネットサービスで用いられる通信方式。1本の光ファイバで、通信速度1Gbps~10Gbpsの光回線を複数の家庭でシェアする通信です。低コストでインターネットに接続する方式として優れています。
*2 ICE-Xコヒーレント通信
米国Infinera社が開発した光コヒーレント技術を用いて、一対多の通信を実現するトランシーバ技術。コヒーレント技術の「長距離」・「高速」といった特徴を活かしつつ、複数の加入者への通信サービスを一つの光コヒーレントトランシーバで実現できることが特徴です。
*3 光コヒーレントトランシーバ
主に長距離、高速の光通信であるコヒーレント通信を実現する送受信部品。光の波長単位に通信データを伝搬することができ、光ファイバ1本あたりの通信量を大きくできます。従来は大陸間など、拠点と拠点の間に用いられてきました。
*4 重畳
2つの異なった通信方式を重ね合わせること。