06 August 2021
内径旋削用スマートダンパー「SDB型」を開発、販売開始
住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治)は、内径旋削用スマートダンパー「SDB型」を開発いたしました。びびり振動を抑制することで、加工品位の向上や工具寿命改善につながる本製品を、2021年8月より販売を開始しております。
筒形状の工作物の内側を加工する内径旋削加工においては、一般的に工具の突出し量を大きくする必要があるため、外径旋削加工と比較して、工具が振動する「びびり振動」が発生しやすいとされています。びびり振動が発生すると、加工品位の悪化、工具寿命の低下につながるなど、様々な問題が生じます。特に最近は、工具への負荷が大きい難削材加工の増加や、複雑化した部品形状に対応するため工具突出し量を大きくするなど、びびり振動がより発生しやすいケースが増えています。高能率な加工への期待が高まる中、いかにびびり振動を抑制するかが、大きな課題となっています。
当社はこれまで、「SEC-防振ボーリングバイト SumiTurn® Xバー」の製品供給を通じて、工具突き出し比率(L/D)*1が6程度までの内径旋削加工において、高い振動減衰性能を実現し、好評を頂いております。しかし、さらなる防振工具へのニーズの高まりを受けて、この度、大きな突出し量にも対応した内径旋削用スマートダンパー「SDB型」を開発いたしました。「SDB型」は振動を吸収する特殊ダンパー機構の採用により、L/Dが8程度の長い突出し量でもびびり振動を抑制し、加工品位の向上、工具寿命改善を実現します。
1.特長
(1)新防振機構により優れた振動減衰性能を発揮
特殊ダンパー機構を内蔵し、大径でL/Dが5~8程度の長い突出し量でも、びびり振動を抑制します。これにより加工品位の向上、工具寿命の改善を実現します。
(2)交換式ヘッドを採用
インサートを保持するヘッド部分を交換式とし、防振機構を有する本体部に取り付けて使用します。これによりヘッドのみの交換で、ポジティブ/ネガティブの形状を問わず、多様なインサートを使用することが可能です。
(3)内部給油方式を採用
インサート近傍から刃先に冷却用のクーラントを供給することが可能です。これにより工具寿命に加え、内径旋削加工で問題となりやすい切りくず処理性を改善します。
2.ラインアップ
・(本体) S-SDB型 2型番
・(ヘッド) SDB型 36型番
3.販売計画
初年度10百万円/年、2年後20百万円/年
*1 工具突き出し比率(L/D): Lを工具突出し量、Dを工具直径として、その比率を表す指標。この値が大きいほど工具剛性が低く、びびり振動が発生しやすい。