10 February 2021

欧州向け400kV 高圧直流ケーブルシステムの更新プロジェクトを受注

住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下 当社)は、ドイツの送電事業社である50Hertz Transmission社から、ドイツとデンマークを結ぶ高圧直流送電ケーブルシステム*1のうち、ドイツ国内区間における陸上ケーブル更新プロジェクトを受注いたしました。

プロジェクト実施地図
プロジェクト実施地図
プロジェクト実施地図( オレンジラインの部分が今回更新区間)

本プロジェクトは、ドイツ北部ロストック市において、老朽化した既存の直流400kV OF(油浸紙絶縁)地中ケーブルを撤去し、信頼性・環境面で優れるXLPE(架橋ポリエチレン)地中ケーブルに更新するものです。当社は設計、調達、製造、輸送、布設工事、保守・メンテサービスを担当します。

この高圧直流送電システムには、LCC(他励式変換器)方式*2の交流・直流変換システムが用いられており、極性反転 *3に対応する性能が求められます。当社グループは、LCC方式に対応した直流XLPE絶縁ケーブル技術を開発*4し、日本国内で2012年から無事故の運転実績を有しております。これに加え、2019年に直流XLPE絶縁ケーブルでは世界最高電圧となる英国・ベルギー間 ±400kV直流ケーブルシステムを完工、2020年にはドイツ国内における±525kV高圧直流ケーブルシステムを受注しております。こうした実績や業界最先端の技術などが高く評価され、当社の受注が決定しました。LCCとの組み合わせで400kV直流XLPE絶縁ケーブルが採用されるのは本件が世界で初めてとなります。

当社グループは、高品質かつ安全な技術をもとに確実にプロジェクトを推進し、国家間連系線の一部となる本プロジェクトの完遂に向けて一丸となって取り組みます。また、欧州をはじめとした世界各地で2000年頃までにLCC方式で建設された直流送電ケーブルシステムは1000㎞以上あり、今後1000億円を超える規模の更新需要が順次見込まれます。当社は独自技術並びに今回の実績をベースに、今後見込まれる更新プロジェクトにおいて、環境保全性に優れる直流XLPEケーブルなど最先端の高圧ケーブル技術・高品質なソリューションを提供し、クリーンエネルギー社会の実現に貢献してまいります。

ケーブル敷設の様子(イメージ)
ケーブル敷設の様子(イメージ)
直流XLPEケーブル(イメージ)
直流XLPEケーブル(イメージ)

参考資料

・2020年5月11日 プレスリリース 欧州向け±525kV 高圧直流ケーブルシステム受注
 https://sei.co.jp/company/press/2020/05/prs043.html

・2019年5月16日 プレスリリース 高圧直流ケーブル事業の推進
 https://sei.co.jp/company/press/2019/05/prs040.html

・住友電工未来構築マガジン(2017年7月発行)
 地域間の電力の安定供給に貢献
 https://sei.co.jp/id/2017/07/quarterly/file001.html

*1 高圧直流送電ケーブルシステム:
高電圧の直流で送電するシステムで、送電ロスが少なく、長距離・大容量送電に適しており、地域・国家間連系線や洋上風力発電所の建設の活発化とともに需要が増加しております。高圧直流ケーブルは、油浸紙絶縁ケーブルが主流でしたが、近年では許容運転温度が高く、環境保全性に優れているXLPE(架橋ポリエチレン絶縁)ケーブルの採用が加速しております。

*2 LCC方式(Line Communicated Converter):
サイリスタ素子を用いた変換器による直流送電方式。送電の方向を変える場合には、電圧の極性(プラスとマイナス)を切り替える必要があります。LCCと組み合わせた直流XLPEケーブルについては、世界で初めて電源開発株式会社(現・電源開発送変電ネットワーク株式会社)の北海道・本州間電力連系設備に採用され、2012年に当社が完工し、営業運転中です。

*3 極性反転:
LCC方式の直流送電システムにおいて、送電方向を変えるための電圧極性を切り替える操作を指します。この操作を行うと、ケーブルに印加される電圧は、プラスとマイナスが瞬時に切り替わります。

*4 LCC方式に対応した直流XLPE絶縁ケーブル技術を開発:
電源開発株式会社(現・電源開発送変電ネットワーク株式会社)との共同開発です。

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