30 November 2020
東海道新幹線・新型車両「N700S新幹線」向け空気ばねを開発、納入
~JR東海からN700S車両開発感謝状を受贈~
住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治 以下、当社)は、東海旅客鉄道株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:金子 慎 以下、JR東海)と共同で、新幹線の乗り心地の改善・省エネに貢献する空気ばねを開発、新型車両「N700S新幹線」向けに納入を開始しました。また、本製品開発に対し、JR東海 取締役 常務執行役員・新幹線鉄道事業本部長の大山隆幸様より、感謝状を受贈しましたのでお知らせします。
空気ばねは、車体部(客室等)と台車部(台車+車輪)の間に装着され、車輪から車体に伝わる振動を大幅に軽減し、電車の乗り心地を良くするための重要な部品です。当社は、1955年より空気ばねの研究に着手し、国内の新幹線をはじめ、山手線など大都市圏の通勤電車、ニューヨーク市営地下鉄、デリーメトロなど、国内外のさまざまな車両に採用されております。
これまでの空気ばねは、進行方向に対して左右方向の揺れを低減するよう開発が進められてきました。しかし、左右の揺れが小さくなると、上下の揺れが目立つようになります。そこで、さらなる乗り心地の向上に向け、空気ばねの特徴である柔らかさを維持しつつ、車体が沈み込んだ際に「踏ん張る」特性を持った空気ばねの開発を進め、実用化に成功しました。今回の開発により、上下の揺れを軽減するとともにスピード維持が可能になり、さらなる高速輸送と快適な乗り心地の両立に貢献することができました。
N700S向け空気ばね
本製品の仕様は、N700S新幹線で使用する空気ばねの標準として採用され、当社は、JR東海が2019年から調達を開始しているN700S新幹線に現在納入を進めています。空気ばねの新規開発に始まり、品質向上活動(N700Sハイクオリティ活動)を通じて安全安定輸送の実現に向けた取り組みが評価され、10月2日にJR東海から感謝状を受贈致しました。
N700S新幹線は東海道・山陽新幹線で使用されているほか、2022年度の開業を予定している九州新幹線・西九州ルート(通称:長崎新幹線)に導入が決定し、今後もJR東海が進めている海外展開においても採用が期待される車両です。
当社は、長年にわたり空気ばねにおける経験を培ってまいりました。今回受注したN700S新幹線向け空気ばねも安定した品質で製品を納めてまいります。また、今回の製品開発・納入実績を活かし、今後も日本および世界の交通インフラの発展に貢献します。
ご参考
・当社Webサイト:空気ばね
https://sei.co.jp/products/railway/air-springs.html
・住友電工グループ未来構築マガジン「id」1958年 電線から培った製品技術
https://sei.co.jp/id/2019/05/dna/file001.html
・SEIテクニカルレビュー(2017年1月号 No.190)
https://sei.co.jp/technology/tr/bn190/pdf/190-20.pdf