カーボンニュートラル社会実現の要諦~時代が求めた新たなパワーデバイス~
EV(電気自動車)と風力発電(イメージ)
私たちの生活は、今や車、スマホやパソコンなどあらゆる製品に内蔵される半導体抜きには成り立たない。一方、車のEV(電気自動車)化により、今後さらに消費する電力量が増大することは確実である。求められるのは、電力を効率良く使用することだ。そのカギとなるのが、パワーデバイス(パワー半導体)である。近年、電力の効率的利用を実現する次世代のパワーデバイスの素材としてクローズアップされているのが、SiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイド)だ。
住友電工グループの日新イオン機器(株)は、1970年代から半導体製造工程に不可欠な「イオン注入」の技術開発を推進し、優れた装置を市場に送り出してきた。そしてSiCパワーデバイスが注目される中、社会・市場のニーズに応えた新たなイオン注入装置を開発、各方面から高い評価を受けている。しかし、SiCパワーデバイス製造向けのイオン注入技術は成熟しているわけではない。さらなる進化に向けた、製品開発の取り組みが推進されている。SiCパワーデバイスの普及・拡大による温室効果ガスの排出削減は、カーボンニュートラル社会実現に大きく寄与する。今回は、業界で初めて生み出された、SiCパワーデバイスに特化したイオン注入装置開発の軌跡と最前線を紹介する。