産業用電線への社会的要請~社会インフラ整備、モノづくりの現場に改革を~
住友電工グループの主力製品である電線・ケーブルの中で、「産業用電線」と呼ばれる分野がある。鉄道車両や港湾構内などの社会インフラや、造船所や鉄工所、工場などのモノづくりの現場、一般住宅やマンション、ビルといった建築物など、最終的に電気が使用される箇所への配線として、極めて幅広い業界において多岐にわたる用途で使用されている電線である。
その中に「キャブタイヤケーブル」というカテゴリーの電線・ケーブルがある。通電状態のまま移動可能な電力供給ケーブルだ。従来、鉄鋼や造船、土木建設工事の建機など、主に重厚長大型産業の過酷な作業現場に採用されてきた。それらの現場では、担い手不足や高齢化の進展、さらに働き方の見直しなどを背景に、作業省力化や効率化を求める声は高い。
また、太陽光発電や蓄電システム、住宅、施設などに固定設置される「機器・盤内配線用電線」には、機器の小型化に伴い、狭小箇所へも容易に配線できるよう、耐熱性や耐摩耗性に加えて柔軟性が求められる。
これらの多様な課題・ニーズを解決する製品ブランドとして、住友電工グループが2019年11月に立ち上げたのが、新ブランド「S-FREE®(エスフリー)」。「快適を、その現場に」をコンセプトに、キャブタイヤケーブルおよび機器・盤内配線用電線を主軸としている。その狙いは何か。今回はS-FREE®開発の軌跡とブランド浸透に向けた取り組み、併せて実際に採用したユーザーの声も含めて、S-FREE®の持つポテンシャルを紹介する。