20 April 2023
2026年に車載光ハーネス実用化へ 開発加速
住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下 当社)は、車載光ハーネスの開発を推進、加速しており、2026年に商用サンプルの提供開始を予定しています。長年培った光通信技術とワイヤーハーネス技術を融合した高速・大容量通信により、CASE*1の進展に貢献します。
CASEの加速的進展、異業種の参入などにより、自動車業界は100年に一度の変革期を迎えています。
開発中の光ハーネスは、伝送速度10Gbps超の超高速通信が可能であり、車内外の大容量データ通信を支え、自動運転で必要となる高精細センサのデータ通信などを担う製品です。さらに、光信号の分岐機能による複数端末へのデータの同時送信を実現するなど、CASEの進展に貢献します。
従来のワイヤーハーネスでの高速・大容量通信には、電線太径化による重量化が伴いますが、光ファイバにはガラスやプラスチックなどの細径、かつ軽量材料が使用され、高速・大容量通信と軽量化の両立が可能です。さらに、光信号は電気信号に比べて高い耐ノイズ性能を有します。
当社は、光ハーネスによって車載通信ネットワーク全体の付加価値向上を実現します。
■主な特徴
1.伝送速度10Gbps超の超高速通信が可能
10Gbps超の光ハーネスはまだ実用化されていません。ISO*2などの標準化団体に当社も参画しており、光ハーネスの標準規格化をリードしています。
2.従来のワイヤーハーネスに比べ軽量かつ細径
3.電気信号に比べて高い耐ノイズ性能
電気信号は高速化に伴い耐ノイズ性能が悪化しますが、光信号は電磁波ノイズの影響を受けづらいため超高速通信においても高い耐ノイズ性能を維持できます。
4.車載用の被覆材を用いたケーブル化により車載環境性能を担保
5.防塵を考慮したコネクタ構造
6.光信号の分岐機能を提供
住友ベークライト株式会社のポリマー光導波路を光ハーネスに組み込むことで光信号の分岐機能を提供します。例えば、高精細センサのデータを分岐して自動運転ECU*3とディスプレイへの同時送信を可能にします。
詳細は、下記の住友ベークライト株式会社のプレスリリースをご覧ください。
https://www.sumibe.co.jp/topics/2023/coin/0410_01/index.html
2026年の車載光ハーネスの実用化に向け、試作や性能評価、サンプルの開発等を進めると同時に、カーメーカーだけでなく、チップ・トランシーバ・センサ等のベンダとのアライアンスを構築していきます。
今後も当社は、ワイヤーハーネス等の従来製品に加え、エネルギー・情報通信など、グループの多彩な技術力を融合し、アーキテクチャの変革を含む、電動化・高速通信化に挑戦します。
*1 CASE
自動車業界のトレンドを表す言葉で、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリングとサービス)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。
*2 ISO
スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関 International Organization for Standardization(国際標準化機構)。ISOが制定した、国際的に通用する規格をISO規格という。
*3 ECU
電子制御ユニットを意味するElectronic Control Unit。ECUは自動車に数多く搭載されており、様々な機能を電子的に制御する。