AI時代を牽引する営業戦略~海外販社と連携、展開する住友電工グループの光デバイス~
営業会議風景
米国、欧州、中国の海外販社が営業活動を推進
光デバイスの営業・販売を担うのは、住友電工のデバイス営業統轄部内にある光デバイス営業部だ。SEDIが供給する光デバイスの顧客は、その大半が海外である。営業体制は、米国(サンノゼ)、欧州(英国、イタリア)、中国(香港、深圳)に販社を設置、光デバイスの性能を訴求する活動を行っている。光デバイス営業部は、各販社を含んだ営業活動全体を統括する役割を担う。その主な顧客は、データセンタ内部で需要が高まっている短距離の光通信やデータセンタ間で大容量の光通信を行う光トランシーバを開発製造するメーカーとなる。光デバイス営業部部長の真田清一に営業活動の実際を聞いた。
「データセンタビジネスの特徴は、製品サイクルが極めて早いこと。次世代の製品をいち早く開発し、顧客に採用され続けなければ安定したビジネスになりません。また、光通信には業界標準があり、その規格検討のフェーズから参加し開発を進めていく必要もあります。そのため、光トランシーバメーカーを巻き込んで、データセンタ運営会社に直接アプローチする取り組みも進めています。自分たちが保有する独自の技術を説明し、先方の計画立案から参画する。こうしたコミュニケーションが営業のカギを握ると思っています」(真田)
顧客と繋がり続けることでビジネスを拡大
光トランシーバメーカーへの営業を担当しているのが、DCネットワークグループの工藤彰人である。大手顧客の一つである中国のメーカーを担当している。
「顧客は何を求めているか、いつ必要なのかを把握し、必要なものを適切なタイミングで届けることが非常に重要なポイントになります。それにより既存製品の売り上げ拡大を図るとともに、新製品のデザイン・イン活動を推進し、そのビジネスへ繋げていくことがミッションとなります」(工藤)
今後、営業にはどのような対応が求められるのか。
「光通信は歴史上、需要供給の波が大きい業界です。5~10年後は技術もプレーヤーも変わっていくこともあり得ます。需要と技術の変化に対応しつつ、顧客と繋がり続けること。それこそが、ビジネスを拡大していく源泉と考えています」(真田)
テレコム分野とのプラットフォームの共通化
最後にSEDIの事業部長として、光デバイスビジネスを統括する東敏生に今後の展望を聞いた。
「現在、データセンタ市場としては、北米と中国と大きく2極化しています。AIデータセンタの心臓でもあるGPUはほぼ米国の独占状態でしたが、中国でのGPU開発も加速しておりいずれ巨大な市場となることが予測されます。光トランシーバメーカーのサプライチェーンの状況を把握し、顧客戦略を立てていく必要があります。また、将来的にはデータセンタだけでなく、移動体無線通信や放送などのテレコム分野とのプラットフォーム共通化も検討すべきテーマです。当社が得意とするプロセス技術の横断的な活用で、光デバイスの新たな展開も見えてくると考えています」(東)
進展するAI社会を支える住友電工グループの光デバイスは、今後さらなる進化を続け、広く社会に新たな光通信の世界を生み出していくだろう。それは未来に向けて無限の可能性を秘めている。