住友電工の流儀 國井 美和 執行役員 人材開発部長

心に灯されたwillの火を全力で支える 一人ひとりが柔軟に働き、仕事をやり切れる環境をつくる

入社13年目、技術畑から人事畑へ転身

エンジニアとして住友電工に入社した私は、交通関連システムの機器開発などを担っていました。仕事は面白かったものの、技術者としてずっと働き続けるイメージを持つことができなくなりました。そこで自ら手を挙げて、入社13年目で人事畑に転じました。
「キャリアアンカー」で言うと、「チャレンジ」が人生の錨である私にとって、人事総務部に転属して採用を担当として2年、人材開発部に異動したときは、新たなチャレンジにワクワクしました。

人材開発部は、人材育成の強化を目指して2005年に人事部から独立し、開設された部署です。住友電工では従来から教育に力を注いできましたが、一層の人材価値向上を目標に、当社グループ社員全員を対象とした企業内大学SEI ユニバーシティを立ち上げました。私が異動した2009年は、教育体系をまだまだ整備していた時期で、私もよい経験をさせてもらいました。

その後はアメリカ駐在を経て、新設の人事部ダイバーシティ推進グループのグループ長に就きました。 まさに典型的な川下り型キャリアです。ゴールを見すえて上昇していく山登り型ではありません。ただし川下り型でも自分の「こうありたい」というwillは持ち続けてきました。それが「女性活躍の推進」であり、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」です。

女性活躍推進のためには在宅勤務制度が必要

女性の活躍を制限しているものは様々ありますが、大きなネックが働く場所と時間の制限だと考えました。自宅で仕事ができれば通勤時間が削減でき、その分働く時間に充てられる。
そこでダイバーシティ推進グループが立ちあがった2014年に、「就労機会の確保」と「仕事をやり切るための環境づくり」を目的に、在宅勤務制度の導入に向けて動き始めました。

2015年10月に、妊娠・育児・介護中の社員で自律的に業務遂行が可能と認められた21人の方を対象に、1年間のトライアルを開始。その翌年には出産・育児・介護を対象に本格導入となり、トライアルの方がそのまま制度を利用することになりました。
そして2017年4月には傷病・障がいのある社員、海外と深夜の会議が必要な人も対象になり、翌年1月には全社員トライアルをスタート。2018年10月には全社導入が実現しました。

結果的にコロナ禍で貢献することができた

ここまで順調に進んだ理由は、大きく2つあります。1つは、最初から全社員対象をめざしてタイムスケジュールを組み、 段階を踏めたことです。テレワーク専門のコンサルティング会社、株式会社テレワークマネージメントから「国の方針で3回無料コンサルティングをします」と売り込みがあったのが幸いでした。「女性だけでなく最終目標を全社員対象としなければ、たどりつけませんよ」という同社社長のアドバイスのおかげです。

2つめの理由は、トライアルの21人の方がきっちりと結果を出してくださったからです。在宅勤務への負の印象を一掃する仕事ぶりで、それに対する上司の評価がよく、前向きなフィードバックがありました。
とはいえ全社導入後は利用人数が少なく、2018年当時は社内に働きかけてもなかなか広がりません。制度の拡大に注力してくれたグループ員のモチベーションは下がるばかりで、グループ長の私はみんなのモチベーションをいかに維持するかに腐心しました。

ところが新型コロナウイルス感染症の拡大で状況は一変。すでにMicrosoft Teams ®を導入し、ルールも策定済みと環境が整っていたため、緊急事態下でも比較的スムーズに在宅勤務を実施できました。
「なんとか貢献できたね」と、グループ員と胸をなで下ろしたことは忘れられません。

ダイバーシティ&インクルージョンを進めていく、という信念は揺るぎません。まだまだ道半ばですが、いつかはやり遂げようというwillは持ち続けています。
何より、私のwillを見守り、サポートしてくれる会社には感謝しかありません。

やるべきことをきっちりとやり遂げる風土

人事部から広報部を経て、2022年に部長として人材開発部に戻ってきました。
現在、人材開発部では、e-learningや集合研修の開発・運営をおこなっています。社内研修はかなりそろってきており、希望により社外プログラムの受講も可能です。
キャリア採用で入社した方に「研修内容が充実している」と言ってもらえるようになり、多くの社員のみなさんに受講してもらっています。

研修も仕事と同様に、社員1人ひとりがまじめに、やるべきことをやり遂げてくれています。自社ながら大変なパワーだなと感心します。住友事業精神の基本である「萬事入精(ばんじにっせい)」、一人の人間として、何事に対しても誠心誠意を尽くす人であれ、という考えが身についているからでしょう。そうやって日々奮闘する先輩たちを見て、次の世代も誠意を持って何事もやり遂げる。それが住友電工グループの風土だと実感します。

それぞれの成長意欲に応える研修も開発

住友電工グループ「2030 ビジョン」では、その実現のための経営基盤として「人的資本」 を挙げています。あらゆる人材が活躍・成長・自己実現し、社会に貢献できる企業をめざして、「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進、成長と挑戦に重きを置く風土醸成、グループ・グローバルでの総合力発揮をテーマに掲げています。
いずれも社員が自律したうえで、その多様なメンバーを包含して相乗効果を生み出すことによって、成長と挑戦に重点を置く風土が醸成され、強い組織づくりが進んでいくはずです。

軸となるのは一人ひとりの成長意欲=willであり、会社のビジョンと方向のあった個々のwill を醸成することが大切だと考えています。仕事を通じて自分がどのように成長したいのかを明確にしたうえで、「こんなことをやってみたい」というwill の火を心に灯し、育ててほしい。will に応える研修は人材開発部で進めていきます。

私が大切にしているのは「エナジャイズ・アザーズ」です。人を元気づける、勇気づけるという意味であり、会社における自分自身の役目だと考えています。
住友電工グループの一人ひとりが100%の力を発揮してもらえるような場づくりをして、みんなを鼓舞していきたいです。

PROFILE

國井 美和 Miwa Kunii

1994年
住友電気工業株式会社 入社 システム事業部開発部

2007年
人事総務部人材採用グループ

2016年
人事部労政・ダイバーシティ部長

2020年
広報部長
住友電工グループ初の女性執行役員に

2022年
執行役員 兼 人材開発部長

住友電工の流儀 國井 美和 執行役員 人材開発部長

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