1922年 世界最長 海底送電線の敷設
いくつもの困難を乗り越えて
―愛媛県新居浜〜四阪島間をつないだ技術―
1922年、当時の技術では不可能とされていた事業を住友電線製造所※が成功させた。 愛媛県新居浜から沖合の「四阪島」まで、21kmに及ぶ海底ケーブルの敷設である。
煙害対策のため、無人島であった四阪島に精錬所が移転されたのは1905年。以来、島内にある火力発電所の燃料用石炭の輸送費用に苦しんでいた。対岸の新居浜には大きな水力発電所があり、送電できれば費用は5分の1で済む。しかし、当時海底ケーブルの最長距離はサンフランシスコに敷設された6.7km。その3倍を超える技術は世界中のどこにもなかった。
おりしも、火力発電所が損傷。新居浜から送電線を引くことが決定され、住友電線にケーブルの設計製造から敷設までの一切が委ねられた。住友電線は欧米の海底ケーブルを徹底的に調査、経験や知見を結集し創意工夫に満ちた高性能ケーブルを完成させる。暴風雨による工事の中断、ケーブル不良の発生など度重なる苦難を乗り越え、当時としては世界最長の海底ケーブルの敷設を20日以上かけてついに成し遂げた。この経験が、住友電線製造所の海底ケーブル技術を飛躍的に高めることとなったのである。
※現在の住友電気工業株式会社