TNFDのフレームワークに基づく評価と情報開示

 2021年6月に自然資本及び生物多様性に関するリスクや機会を評価し、開示するための枠組みを構築する国際的組織であるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が立ち上がり、2023年9月には枠組みを示したTNFD最終提言が公表されました。

 「五方よし」を掲げる当社グループとしても、自然関連の依存・影響(リスク・機会)を評価し、課題に対して適切に対応していくことは、企業価値を向上させ、マルチステークホルダーとの共栄を図るために必要不可欠な要素であるとの認識に立ち、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿った評価に取り組んでいます。

バリューチェーンの分析

 当社グループは、「環境エネルギー」「情報通信」「自動車」「エレクトロニクス」「産業素材」の5つの事業分野でグローバルに事業を展開しています。この度、LEAPアプローチのスコーピング(評価対象範囲の決定)に取り組み、各事業分野の主要製品におけるバリューチェーンを社内有識者とともに整理しました。そして、TNFDが推奨する分析ツールであるENCOREを活用し、各事業分野における自然への依存・影響を分析しました。その結果は、下記ヒートマップのとおりです。

 今回の分析から、当社グループの事業活動における自然への依存と影響は、特にバリューチェーン上流の原材料調達において大きいことが判明しました。また、当社グループの原材料購入量実績からは、下表のとおり銅が最も多いことが分かっています。そこで、銅を主原料とした製品があり、さらに売上高の高い「環境エネルギー」分野及び「自動車」分野を、重要度の高い事業領域として特定しました。



銅、鋼(鉄)、アルミ、樹脂(石油)は、全てSBTs for NatureのHigh Impact Commodity
売上高について、各セグメントを足し合わせた数値と合計欄の金額差は連結消去

今後の進め方

 今年度は、重要度が高い事業領域である「環境エネルギー」分野及び「自動車」分野を優先して、LEAPアプローチに沿った分析を進める予定です。そして今後も、情報開示の内容を充実化していくとともに、事業活動の戦略や方針へも反映していく予定です。

 「五方よし」を掲げる当社グループは、豊かな自然との共生を目指して、これからも取組みを進めていきます。