住友電工の流儀~酒井 栄治~

情報通信×環境エネルギー、私たちだからできる お客様の市場優位性に寄与するために営業ネットワークを拡大中

製販でビッグテック企業へソリューションを提供

私が本部長を務める社会システム営業本部は、大きく分けて情報通信と環境エネルギーの2分野があり、ともに社会インフラを支える製品の営業を担っています。
グローバルにDX、GXが進展するなか、情報通信、環境エネルギーどちらの市場においても、われわれの特長技術と高品質な製品、総合的な提案力を発揮しています。

情報通信分野では、光ファイバ通信のグローバルトップランナーとして、使命感と大きな意気込みを持って挑んでいるところです。とりわけIoT技術を搭載した光ファイバ融着機や、低損失の光ファイバ、光コネクタなどの提供を通じて、お客様の競争力向上、市場での優位性維持に寄与します。生成AI対応のデータセンタ向け需要増加をはじめ、グローバルでDX、GXが進展するなか、北米のビッグテック企業を中心に、重要顧客のニーズに柔軟に対応できる製販のソリューション提供に全力を注いでいます。
今後はデータセンタを中心に情報通信インフラへの投資が引き続き伸びると予想されます。国内外の営業ネットワークをさらに強化し、的確な受注見通しに基づく先行投資を行って、グローバルトップランナーとしての地位の確立、持続を目指します。

脱炭素化へ貢献、英国に海底ケーブル工場を建設

環境エネルギー分野では、GXの動きによって国内外の需要が堅調の中、特に再生可能エネルギーの導入が活発化する欧州で、国と国を結ぶ電力連系線の需要が高まっており、我々は「自社配合の絶縁体を使った『直流電力ケーブル』」で、更なるシェア拡大を目指しています。これは当社独自の材料技術により、他社製品よりも高温で運用できる製品であるため、導体をサイズダウンすることでコスト低減や環境負荷軽減など、ユーザーに大きなメリットを提供できます。

この製品を武器に、英国とベルギーを結ぶ高圧直流送電システム「NEMOリンク」を納入・完工。2019年の送電開始以来、最高電圧による世界唯一の直流連系線として、無事故で運用中です。こうした実績により、英国政府の後押しも得ることができ、2023年、住友電工単独でスコットランドでの海底ケーブル工場の建設を決断しました。2050年までに温室効果ガス排出量実質「ゼロ」を目指す英国では、北部の洋上風力で発電した電力を消費地の南部に送る電力連系線の早期整備が求められています。新工場は海底ケーブルの供給のみならず、スコットランドの雇用やサプライチェーン構築も担い、経済発展に貢献していくつもりです。

強みの「地営力」でグローバル競争を勝ち抜く

住友電工の流儀~酒井 栄治~




情報通信、環境エネルギーともに、グローバルな競争を勝ち抜くためのカギは「コスト競争力と品質強化」はもちろん、「現地体制の強化」です。我々は「地産地消、地営化」のキーワードのもと、製販で成長市場における製造拠点の新増設、営業体制の強化を進めています。「地営化」とは地場の営業になりきり、お客様密着で対応することです。

我々が貫くのは「絶対にインフラを支える、守り抜く」というスピリットです。トラブルが発生すれば関係者総出で早期復旧に挑み、国内のお客様から厚い信頼をいただいてきました。お客様のそばで信頼を重ねて我々の価値を認めていただき、お客様のビジネスに貢献する。我々の強みである「地営力」を世界各地で発揮したいと考えています。

住友電工グループの技術力・完遂力・まじめさを評価していだだけるお客様と関係性を深め、特長製品での貢献はもちろん、迅速な顧客対応やタイムリーな保守・メンテナンス対応を地元企業として提供していく。さらには地場品の活用、現地雇用の拡大といった地場企業としての貢献を総合的に評価いただき、グローバルな競争を勝ち抜きます。

逸注後10年間、地道な技術提案を続けて得たこと

私が大学を卒業した1991年度は、バブルの全盛期。金融機関が日本を動かしている雰囲気が漂っていましたが、私は実態のないモノを扱うイメージがつかめませんでした。実態がある製造業で、広く社会貢献できる「インフラ関連企業」で働きたいと考え、住友電工を志望しました。さらに入社面談やOB面談で「インフラを支える誇り」を持つ先輩たちと出会い、「こういう人と働きたい」と思ったことも入社動機になりました。
以来、一貫して電線関連の営業を続けること30数年、入社時の判断は間違っていなかったと確信しています。

そんな私が大切にしているのは「絶対諦めない、最後までベストを尽くす」こと。そして住友事業精神の「萬事入精」の気持ちを持って業務を進めれば、何とかなる、への確信です。それを実感したのが30代後半、国内電力系通信キャリアのお客様に対し、ネットワーク機器の営業を担当していたときでした。

インターネット用局内+宅内装置の新たな主力製品に絶対参入するんだと、受注獲得に意気込んでいた私は、部品を先行購入し、先行製造で納期を確保したうえで応札しました。ところが、既存メーカーの想定外の安値応札により、まさかの逸注。役員にも「絶対受注できる」と言い切っていたにもかかわらず、逸注することとなり、「会社生活、終わった」と放心状態になりました。

しかし「チャレンジして失敗しても、次に繋がればいい」という上司や周囲の励ましと理解のおかげで、仕事を続けることができました。チャレンジを認めてくれる社風が、今の自分を作ってくれたと思います。
逸注したものの、製品の採用実現はあきらめませんでした。「最後までベストを尽くす」と、お客様の困りごとを聞いては、コツコツと技術提案を続けました。やがて伝送スピードが10倍になる次機種の採用検討の動きがあり、10年間の技術提案の貢献を評価いただき、受注に成功。さらに、並行して提案活動を進めていた他の電力系通信キャリアでの採用も決まりました。本当にうれしかった。私の技術提案に付き合ってくれた事業部メンバーの支援があってこそのリベンジです。ちなみにこの製品は、2024年度までの累計売上が200億円を超え、今では当該事業部の主力製品となっています。

10G-OLT
伝送スピードが10倍に。通信キャリアの局舎に設置される局装置「10G-EPON OLT」
10G-HGU BFW7821
エンドユーザー宅に設置される家庭用端末「10G Wi-Fi ONU」

お客様と共に、未来を切り拓いていく

125年以上の歴史を持つ住友電工は、豊富な経験や高度な技術力をもとに、高品質な製品・サービスを提供してきました。幅広い領域の事業を展開するなかで、コア技術とそれを担う多彩な人材を獲得し、グローバルな供給網や大規模な生産能力を誇っています。こうした強みがあるからこそ、環境変化やお客様の期待に対して、素早く、かつ柔軟に対応できます。

この住友電工グループの営業として私が感じるのは、お客様とともに世界の課題解決に貢献できるやりがいの大きさです。これからも高い専門性と柔軟な発想でお客様に寄り添い、お客様と共に未来を切り拓くことが目標です。業界の先頭を走り続ける企業として、持続可能な社会の実現に寄与していきます。

PROFILE

酒井 栄治 Eiji Sakai

1991年
住友電工 入社

2017年
電力システム営業部長

2020年
住友電工貿易(深圳)有限公司〔SETS〕[前:住亜貿易(深圳)有限公司〔SEAC〕]
総経理(社長)

2022年
社会システム営業本部営業企画部長

2023年
執行役員、社会システム営業本部副本部長

2024年
常務執行役員、社会システム営業本部長

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