住友電工の流儀~森本 正人~

何歳からでも人は挑戦し、成長できる 53歳で初の海外赴任。グローバル営業の最前線へ

突然、ロサンゼルスに本社を置く販売会社へ

入社から約30年間、情報通信分野の国内営業を担当してきた私が、54歳を目前に初めての海外赴任を命じられました。それまでの約3年間、海外営業部長を務めていたため多少の準備運動はできていたものの想定外でした。

私が担当する情報通信分野で取り扱う製品は、光ファイバ・ケーブル、光機器、ネットワークシステムの3つに大別され、アメリカ、ヨーロッパ、中国、東南アジアなどグローバルに営業拠点を展開しています。海外営業部で各国のお客様とビジネスを重ねてきましたが、グローバル本社は東京にあり、私の居場所は日本だったのです。

それが突然のアメリカ駐在。仕事はビジネス英会話で通じたとしても、日常生活で私の英会話が使えるのだろうか。なにしろ外国人の方を前にすると冷や汗が出るタイプで、飛行機も苦手です。不安が募るなか、当社グループ製品の販売およびマーケティングを担うSUMITOMO ELECTRIC U.S.A(SEUSA)の社長としてロサンゼルスに赴任しました。
 

ダイナミックなビジネスも経験した6年間

案の定スーパーマーケットや病院では日常英会話が通じず苦労しましたが、それらをなんとか克服し、恥をかいた分だけ強くなりました。そして情報通信や電力ビジネスが活況なアメリカで、日本での営業マーケティングの経験を生かし、グローバルな仕事ができました。

例えば海底ケーブルのシステムを提供するアメリカのお客様に対して、私たちの海底ファイバを納入したり、海底電力工事を遂行するという大きなビジネスを経験しました。
とりわけハイパースケールデータセンタを展開する北米の巨大IT企業は投資規模が大きく、意志決定が非常に早いため、お客様のスピードに応えられる機動力が欠かせません。直接担当はしていませんでしたが、米国ビジネスのスピード感はこれまでにない刺激的な経験になりました。またトップとして、多様なグローバルスタッフとベクトルを合わせて、信頼関係を築く貴重な時間でもありました。

日系企業が多く日本人コミュニティもあるなど、恵まれた環境のロサンゼルスで生活するなか、私の頭に浮かんだのは、北米西海岸以外の国や地域に駐在する人の暮らしです。どれほど大変な日々を過ごしているのだろう。日本に居ては思いも及ばなかった事柄に対し、考えを深める時間にもなりました。
 

世界で活躍できるチャンスは国内トップクラス

人は何歳からでも新しいことに挑戦し、成長できる。アメリカでの6年間で感じたことです。そして50代半ばの私にチャレンジの機会を与えてくれた会社に、深い感謝の思いを持っています。

住友電工グループは、グローバルで活躍したいと考える人に最適な会社です。5つの事業分野を世界約40カ国で展開しており、海外で仕事をするチャンスの多さでは国内トップクラスでしょう。営業や技術だけでなく、人事をはじめとしたスタッフ部門でも能力を発揮できる機会が豊富にあります。今後ますますグローバルに活躍できる人が増えていくと思います。

私自身がアメリカで強く感じたのは、ダイバーシティの重要性です。グローバルスタッフと共に働くなかで、文化や宗教の違いのみならず、考え方や発想の多様性に触れ、それらが事業活動に生きてくることを実感しました。

ビジネスだけではありません。スポーツ好きの私はメジャーリーグ観戦によく出かけましたが、北米最高峰のプロ野球リーグMLBは、世界中からメンバーを集めたダイバーシティ戦略で成り立っています。チームも企業も多様な人材が集まり、それぞれの能力を発揮してこそ、組織として成長できるはずだと感じます。〈注〉(今は阪神タイガースも応援)
 

DX×GXなど総合的な提案ができる人材育成を

私が所管する社会システム営業本部では、営業戦略全体を東京のグローバル本社で立案し、現地ではそれぞれ実態に即した営業活動を展開しています。
国や地域によって市場も顧客ニーズも異なります。価格第一のニーズがあれば、製品の付加価値や品質を求めるお客様もいらっしゃる。地域の特性・お客様のご要望に合わせた営業スタイルを重視しています。

当部の副本部長として私が注力していることの一つは、人材の育成です。情報通信分野は活況な市場ゆえに、競合との激しい競争が続いており、当社グループが世界のあらゆる地域で勝っていくためには、グローバルで営業できる人材が欠かせません。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメンション)の両立が求められるなかで、お客様のご要望に対して柔軟なソリューションを提供できるのが私たちです。多様性に富んだ組織として、総合的な提案ができる人材を育てていくことが目標です。

「自然体」であること「誠心誠意」を尽くすこと

40年近く営業を担ってきた私が心がけてきたのは「自然体」と「あるがままに」です。ものごとにあたるときは余計な情報を入れずに、「こうしよう」という強すぎる思いを持たず、状況に応じて柔軟に対応するよう意識してきました。

良いときも悪いときも、泰然と。とくに良いときに慢心せず、謙虚に自分を見つめる。若いときもそれほど仕事に対してギラギラしていなかったとは思いますが、当時と比べると丸くなったと思います。同世代の方々と同様、いい意味で肩の力が抜けてきたのでしょうか。

私は『平家物語』の冒頭句が好きで、あの名文を読むと「おごれるものも久しからず」の無常観とともに、一期一会を大切にしようという思いを強くします。お客様はもちろんのこと、関わるすべての人に対して誠心誠意を尽くしたいと考えています。

お客様からは「住友電工グループの技術は、一歩上をいっている」と高い評価をいただくことがあります。メーカーの営業として、何よりもありがたい言葉です。技術革新に挑み続ける企業風土と、常に同業他社の動向に目を光らせ、新しい技術・製品の開発を担ってくれている仲間のおかげにほかなりません。仲間とともに、若い人たちと一緒に、これからもお客様に喜んでいただける価値を提供していきます。

住友電工の流儀~森本 正人~
住友電工の流儀~森本 正人~

PROFILE

森本 正人  Masato Morimoto

1984年  
住友電気工業株式会社 入社 電線企画部

2005年  
光エレクトロニクス営業部長

2011年  
海外営業部長

2014年  
社会システム営業本部支配人

2015年  
SUMITOMO ELECTRIC U.S.A., INC. 社長

2021年  
執行役員 
社会システム営業本部副本部長(現在に至る)

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