セルメット®複数形状

脱炭素社会の実現に大きく貢献するセルメット®~「燃料電池」「水素製造装置」にフォーカス~

「燃料電池」「水素製造装置」の顧客獲得へ

営業の最前線で対応しているのが、住友電工エナジーデバイス営業部・セルメットグループの3名だ。グループ長の山地正樹はセルメット®に関わって7年。今、新たなフェーズに入ったと指摘する。

「セルメット®は車載電池メーカー様をはじめとする多くのお客様に支えられ製品力を高めてきました。これからもニーズに応じた製品を安定的に供給しお客様の生産活動に貢献していきます。また脱炭素の潮流の中、水素エネルギーの社会実装を進める動きが加速しています。研究開発と並走し、燃料電池および水素製造装置を作るお客様をいかに獲得するか、それが私たちの新たなミッションにほかなりません」(山地)

住友電工グループは2022年、製品開発を加速させるために富山住友電工内に新規事業開発室を設置した。一方山地ら営業部門は、セルメット®のホームページ改訂やデジタルマーケティングによって海外に向けたプロモーション活動を開始。現在年間100件以上もの問い合わせを受け、水素製造装置メーカーを中心に有望な顧客案件も増加している。

エレクトロニクス営業本部 エナジーデバイス営業部 セルメットグループ 左から 山地 正樹グループ長、菊地 弓絵、萩原 絵里奈
エレクトロニクス営業本部 エナジーデバイス営業部 セルメットグループ 左から 山地 正樹グループ長、菊地 弓絵、萩原 絵里奈
エレクトロニクス営業本部 エナジーデバイス営業部 セルメットグループ 左から 山地 正樹グループ長、菊地 弓絵、萩原 絵里奈

グループ海外拠点と連携しグローバルに提案

山地とともにセルメット®の営業を担当しているのが、入社6年目の菊地弓絵と入社3年目の萩原絵里奈だ。「燃料電池」「水素製造装置」それぞれのメーカーにアプローチしている。国内営業担当の菊地は語る。

「国内の水素製造装置や燃料電池のメーカーは、製造方法や高耐熱性や長寿命性など製品の特性が異なるため、ニーズを把握することが極めて重要な作業になります。材料改質による合金セルメット®が求められれば、研究開発部門と連携・協働してニーズに応じた新しいセルメット®の開発を進めます。サプライヤーという立ち位置でなく、メーカーのパートナーとしての取り組みが求められる業務であり、やりがいを感じています」(菊地)

一方、萩原は海外営業の担当だ。「水素製造装置」市場は、国内よりも海外が先行しており、早期のスペックインを目指している。昨年、新たな海外の商談を進展させた。

「お客様はイスラエルのメーカー。問い合わせに対応したことから興味を持っていただき、富山住友電工の工場見学を経て、仕様のすり合わせを行い、試作の受注に至りました。海外営業は待ちの姿勢でいるのではなく、海外販売ネットワークを活かし、各拠点に能動的に活動してもらうために勉強会開催や情報の共有などの取り組みを進めています。今回の案件も欧州の販社との協働で成し遂げたものでした」(萩原)

現段階では、セルメット®の認知度は決して高くない。今後、Webのみならず海外展示会への参加などを通じて、有望な市場、競争力のある用途へ積極的にアプローチしていく考えだ。

セルメット®が持つ大きなポテンシャル

HEV用ニッケル水素電池パック
HEV用ニッケル水素電池パック
セルメット®複数形状
セルメット®複数形状

セルメット®の面白いところは、リチウムイオン電池が伸長してきた2000年代からニッケル水素電池の需要が減少、セルメット®は減産・低落が繰り返し予想されてきたが、そのたびに一時的な低迷から脱却・回復し、生き残ってきたことだ。そのことを身をもって体感してきた前出の常務執行役員・斉藤英敏は、今後のセルメット®の大きな可能性を指摘する。

「電気自動車EV(Electric Vehicle)に搭載されているリチウムイオン電池は、エネルギー効率が高く、高容量という点が評価されていますが、それは完成形ではなく、過渡的に採用されていると考えています。リチウムイオン電池は安全性の面でも懸念がありますし、耐久性ではニッケル水素電池に劣ります。現在、リチウムイオン電池に代わる全固体電池の開発が進められていますが、セルメット®が適用できる可能性は多分にあります。また、将来はEVのみならず、水素と酸素の化学反応で電気を作って走行するFCV(Fuel Cell Vehicle= 燃料電池自動車)」も伸びていくのではないでしょうか。燃料電池のみならず水素製造あるいは水素輸送・貯蔵の触媒担持体として、水素利用のいずれのステップでもセルメット®は有効であり、来るべき水素社会に大きく貢献することを確信しています」(斉藤)

さらに、斉藤は後進たちへエールを送る。
「今取り組んでいる仕事を突き詰めてもらいたい。それにより新たな発見があり、成長を通じて仕事の面白さを実感できます。また、困ったとき周囲の人がサポートしてくれる文化が住友電工グループにはあります。仲間とともにセルメット®をさらに大きく育てていってほしいと思っています」(斉藤)

住友電工グループの先人が築き上げてきたセルメット®は、50年の歴史を刻んだ。これからどのように次の50年へと継承されていくのか。セルメット®の次代を見据えた新たな展開が注目される。

イスラエルの水素製造装置メーカーであるお客様とともに。後ろにあるのが水素製造装置(右から2人目が萩原) イスラエルの水素製造装置メーカーであるお客様とともに。後ろにあるのが水素製造装置(右から2人目が萩原)
イスラエルの水素製造装置メーカーであるお客様とともに。後ろにあるのが水素製造装置(右から2人目が萩原) イスラエルの水素製造装置メーカーであるお客様とともに。後ろにあるのが水素製造装置(右から2人目が萩原)
イスラエルの水素製造装置メーカーであるお客様とともに。後ろにあるのが水素製造装置(右から2人目が萩原)
エレクトロニクス営業本部 エナジーデバイス営業部長  青木 朋之
エレクトロニクス営業本部 エナジーデバイス営業部長 青木 朋之

これからも顧客ニーズに応じたセルメット®を安定的に提供し、車載電池メーカー様をはじめとするお客様の期待に応えていきます。また、水素関連分野は大きな可能性を秘めており、新たな価値を提供することで、セルメット®のさらなる成長に繋げていきたいと思います。